資産運用を始めようと思っても、誤った知識のまま始めてしまうと、あとから取り返しがつかないことになりかねません。運用経験が豊富な現役ファンドマネージャーの塚口直史氏が、正しい資産運用の知識を解説します。今回は、投資信託を選ぶ際の注意点についてです。※本連載は、同氏の著書『世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた。』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「確定拠出年金」や「NISA」の税制優遇を活用する

メディアでみかけることが多くなった確定拠出年金NISA(ニーサ)は、税制優遇という切り口から金融機関もこぞって宣伝している主力サービスです。

 

NISAは、通常約20%の税金がかかる株式や投資信託の売却益や配当が、毎年120万円までは非課税となる制度です。投資をするなら、もちろんこういった制度を使ってもいいと思います。

 

ただし、資産運用で重要なのbは、何にいくら投資をするか、ということであって、どこで投資をするかは二の次です。いくら非課税になる口座であっても、運用で失敗して損が発生しては意味がありませんので。

 

◆確定拠出年金の基礎知識

NISAよりも日本国民への影響が大きいと思われる確定拠出年金について触れておきましょう。

 

確定拠出年金は、自分の老後の年金を自分で用意することができる画期的な制度で、将来の年金不安をご自身で解消するためのツールと言えます。

 

これまでは、企業が従業員のために企業年金(確定給付型)を提供してきましたが、長引くデフレと超低金利政策によって、将来従業員に支払う年金原資を運用によって得ることが困難な環境となり、従業員への年金支払債務が膨らんだ結果、企業の財務状態が悪化しました。

 

このため、企業自身が運用リスクや将来の年金支払債務を負うことを放棄し、その代わりに従業員の年金積み立て額を確定させる「確定拠出型」の年金制度へ移行する流れとなりました。これを企業型確定拠出年金と言います。

 

従業員が自分でリスクを取って、将来の年金資産を自分で確保する時代の幕開けとなりました。

 

その一方、企業が確定拠出年金を採用していないケースも多く、そういった場合に、個人がこの制度を利用できるようにしたものが「個人型確定拠出年金」です。個人の場合は、確定拠出年金サービスを提供している金融機関等を自分で選んで申し込みができるため、手数料や運用商品のラインナップを比較して加入ができます。

 

企業型の場合は、企業が提携する金融機関等のサービスに加入するので、従業員にその選択肢はありません。

 

自分で老後資金を確保することを国家としても後押しすべく、拠出金の所得控除や、運用収益が非課税になるなど、加入メリットが多く用意されているのが特徴です。

 

2017年1月には、個人で加入できる対象が大幅に拡大し、公務員や専業主婦(夫)などもこの制度を利用できるようになりました。

 

【KEY】
同じ投資をするのであれば、優遇が受けられる制度は活用すべき。ただし、そういった制度の活用が先行しすぎて、戦略なく投資して損をするのは本末転倒。

 

塚口 直史

欧州系投資顧問会社プラスプラスグループ代表取締役/運用統括責任者

グローバルマクロ戦略ファンドマネージャー

 

 

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世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた

世界第3位のヘッジファンドマネージャーに日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた

塚口 直史

朝日新聞出版

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