自動車免許証の「自主返納」に地域差
現在、日本の運転免許保有者数は、約8,000万人です。このうち75歳以上の免許保有者数は500万人以上(75歳以上の人口の約3人に1人)で、今後も増加していくと考えられます。
ますます増えていく高齢者ドライバーに安全に運転してもらえるよう、また運動機能、認知機能低下による事故防止の観点からも、免許証更新時の年齢が満70歳以上のドライバーは高齢者講習が必須になっています。さらに免許更新期間の満了日の年齢が75歳以上であれば、高齢者講習を受講する前に認知機能検査を受けなければいけません。
さらに平成29年3月施行の道路交通法改正「高齢運転者に関する交通安全対策の規定の整備について」によって、免許の更新後に一定の違反(18項目)をした場合も、臨時に認知機能検査を行うことになりました。
検査の結果「認知症のおそれあり」と判定されると、臨時適性検査を受けるか、主治医などの診断書を提出する必要があります。そこで認知症と診断がされると、免許停止や取り消しの対象になります。
また運転免許の自主返納も進んでいます。運転免許が不要になったり、加齢などで運転に不安を感じるようになったりした場合、ドライバーが自主的に運転免許の取消を申請するもので、希望者には本人確認書類となる「運転経歴証明書」が発行されます。しかし自己判断に委ねられるところが多く、大きな地域差が生じています。
警察庁『令和2年版運転免許統計』によると、高齢者講習受講者数(75歳以上)に対して取消申請数(75歳以上)の割合が最も高かったのが「東京都」で29.7%。「神奈川県」「大阪府」「埼玉県」「北海道」と続きます。
■都道府県「免許自主返納率*」トップ10
1位 東京都 29.7%
2位 神奈川県 22.9%
3位 大阪府 21.4%
4位 埼玉県 20.4%
5位 北海道 20.2%
6位 京都府 19.2%
7位 鳥取県 17.9%
8位 静岡県 17.6%
9位 奈良県 17.5%
10位 香川県 17.2%
*高齢者講習受講者数(75歳以上)に対する取消申請数(75歳以上)の割合
出所:警察庁『令和2年版運転免許統計』より
一方で、割合が最も少なかったのが「和歌山県」で11.6%。「山梨県」「高知県」「茨城県」「熊本県」と続きます。
トップ「東京都」と「和歌山県」には2.5倍ほどの差が生じ、大都市圏のほうが返納の割合は高くなっています。都市部のほうが自動車への依存度は低く、自動車がなくても生活できる、自動車に代わる移動手段があるなど環境によるところが大きいでしょう。
冒頭の池袋の事故のような悲劇を減らすためにも、高齢者が自動車に頼らず快適に生活できる環境整備もまた進めていかなけばなりません。
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