2020年度本決算の注目ポイント

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●今週は注目度の高い半導体製造装置や電子部品、工作機械の主要企業が決算発表の予定。

●ただし、ガイダンスリスクには注意が必要、安川電機や日本電産の株価は好決算でも下落で反応。

●日経平均は依然上昇トレンド形成中、ただこの先は一段の業績改善期待につながる材料待ちか。

今週は注目度の高い半導体製造装置や電子部品、工作機械の主要企業が決算発表の予定

日本では、今週から大型連休明けにかけて、3月期決算企業の多くが2020年度の本決算を発表します。東京証券取引所が公表しているデータによると、市場第一部に上場している3月期決算企業のうち、今週は241社、来週は102社(連休の関係で5月6日と7日のみ)、再来週は1,057社が決算発表を予定しており、今回は連休明けに決算発表が集中することになります。

 

主要企業の決算発表スケジュールをまとめると、図表1の通りになります。

 

(注)決算発表スケジュールは変更になることがあります。 (出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]主要企業の決算発表スケジュール (注)決算発表スケジュールは変更になることがあります。
(出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

市場で注目度の高い半導体製造装置や電子部品、工作機械メーカーについては、今週、アドバンテスト、京セラ、ファナックが27日、信越化学工業、村田製作所、TDK、キーエンスが28日、東京エレクトロン、アルプスアルパイン、ナブテスコが30日に、それぞれ決算発表を予定しています。

ただし、ガイダンスリスクには注意が必要、安川電機や日本電産の株価は好決算でも下落で反応

ただ、業績の改善は、すでに市場に織り込み済みと思われ、2020年度の本決算が良好な内容となっても、株価の反応は限定的となる公算が大きいと考えます。また、今回は多くの企業が2021年度の業績予想を公表するとみられますが、その数字が市場の期待に届かなかった場合、いわゆる「ガイダンスリスク」が顕在化し、決算発表後に株価が下落する展開も想定されます。

 

実際、4月9日の引け後に行われた安川電機の決算発表では、業績の回復傾向が確認されたものの、2021年度の業績予想が市場並みだったことなどから、株価は翌営業日に下落しました。また、日本電産も、4月22日の引け後の決算発表で、2021年度の連結営業利益は過去最高になる見通しを示しましたが、市場では想定の範囲内と受け止められ、翌営業日に株価は下落しました。

今日経平均は依然上昇トレンド形成中、ただこの先は一段の業績改善期待につながる材料待ちか

今回の決算は、市場の期待が高い分、強気の業績予想が顕著にみられない限り、株式市場全体を押し上げる材料にはなりにくいように思われます。ただ、日経平均株価は、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ上値抵抗線と、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ下値支持線によって、長期上昇トレンドを形成しており(図表2)、相場の地合い自体は悪くないと解釈できます。

 

(注)データは2012年1月から2021年3月。ローソク足は月足。上値抵抗線は2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ線。下値支持線は2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ線。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]日経平均株価の上昇トレンド (注)データは2012年1月から2021年3月。ローソク足は月足。上値抵抗線は2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ線。下値支持線は2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ線。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

仮に、今回の決算シーズン後、日経平均株価が低迷した場合、持ち直しには、更なる業績改善の強い期待が必要です。そのための材料として注目されるのが、国内外のコロナの感染動向、ワクチン接種の進展、景気動向のほか、米国の金融政策や大型経済対策です。業績予想の修正は、一般に中間決算に多くみられますので、夏場にかけて、これらの材料が、国内企業の業績に追い風となるかを見極めることになります。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年度本決算の注目ポイント』を参照)。

 

(2021年4月26日)

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

投資情報グループは、総勢14名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場についての運用会社ならではの高度な分析を社内外に情報発信しています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約800本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2019年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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