会長と社長が対立!「親子不仲」が招いた事業承継の残念な結末

日本の中小企業では「後継者不足」が問題になっており、「事業承継」は有効な対策の一つです。今回は、親子で経営しているガソリンスタンドの事業承継の失敗例から、成功に導くヒントを解説します。※本連載は、中野公認会計士事務所の著書『失敗しない理由がある 事業承継の成功例失敗例』(中央経済社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「経営スタイルの違い」から親子で対立することも

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

洛南商事は、京都でガソリンスタンドを経営している会社です。過去には大きな利益を上げていた時期もありますが、ハイブリット車の普及や若者の自動車離れの影響で昨今の業績は低迷しています。

 

しかし、社長である大介の経費削減等の経営努力でどうにか営業利益は確保しています。大介は30代と若いため、父親である会長の伸吾と大介の2人が代表権を有しています。

 

 

伸吾の営業スタイルは、接待を通して人間関係を構築していき、取引に繫げるというものでした。取引先である運送会社の接待を通して、その関連会社を含めた全てのグループの取引を獲得したこともありました。また、新規開拓のため銀行や同業者団体等が開催する各種会合には必ず参加して、人脈を広げていき、新たな取引先を開拓することもありました。

 

このように、伸吾は多額の交際費を使って売上を伸ばそうとするタイプで行動力もありますが、ワンマンで周囲の意見に耳を傾けることはありませんでした。交際費等の経費のなかには、売上の伸長のためかあるいは自身の遊興のためか、判然としない経費も少なからず含まれていました。

 

一方、大介は経営大学院でMBAを取得していることもあり、計数に裏打ちされた経営スタイルで、売上が減少しても利益の確保を重視して、経費削減を遂行しています。

 

大介の指示のもと、全社で経費削減を実行しており、大介が直接、伸吾に交際費の合理性や経費性について厳しく問い詰めることもありましたが、伸吾の交際費が減少することはありませんでした。

 

一昔前であれば右肩上がりの経済環境のなか、多額の交際費を支出してもそれを上回る大きな商売ができていたので、問題にはなりませんでした。しかし、大介は交際費についても費用対効果の不透明なものは、支出を抑えていきたいと考えていました。

 

従業員を取りまとめて現場を仕切っているのは大介であり、伸吾の業務は、古くからの得意先回りとなっています。伸吾は現状の得意先との関係を大切に思っており、経費を節減すれば得意先を維持できず、従業員の士気も下がり経営が成り立たないと考えていました。

 

事実、会社は経済環境が良くないこともあり、近隣店舗との低価格競争や、新規得意先の開拓に苦戦していました。伸吾はその責任は現場を取り仕切っている大介の間違った経営方針にあると考える一方で、自身は課せられた役割をしっかりと果たしているとの自負を持っていました。

 

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1924年(大正13年)、初代の中野清治郎(1897~1993)が、京都にて会計・税務業務の草分けとして会計事務所を開設、現在まで97年の歴史を有しています。

「正確・迅速・親切」をモットーに、税務・会計・監査業務以外にも事業承継コンサルティング、企業再編・再生支援、公益法人会計指導等に取り組んでおります。

「誰もが知っていて、誰からも尊敬される」事務所を目指し、忘己利他の精神で研鑽を続け、多くの顧客の信頼を得ています(写真は、所長で監修者の中野雄介氏)。

著者紹介

連載失敗例から学ぶ「事業承継」成功のカギ

本記事の事例に登場する社名等は脚色したものです。

失敗しない理由がある 事業承継の成功例失敗例

失敗しない理由がある 事業承継の成功例失敗例

中野公認会計士事務所

中央経済社

事業承継は相続税の問題だけではなく、企業経営や組織運営の一部であり、人間心理や文化あるいは価値観を含む総合的なアプローチが求められています。 しかし、人間心理、文化、価値観などは、体系的な説明が難しく、そのあ…

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