発達に凸凹がある子どもの保護者にとって「どんな支援サービスを選んだらよいか」は頭を悩ませるテーマのひとつだといえます。本連載では、発達障害グレーゾーンの特性をIT分野で活かし経営者となった齋藤秀一氏が、自身が放課後等デイサービス「ココトモ」設立にあたり、意識したポイントについて解説していきます。

「障害者囲い込みビジネス」が横行するなか…

著者が障害福祉の事業を始めたときに問題になっていたのが、障害者囲い込みビジネスでした。

 

悪質な事業者は、発達障害の子どもたちを集め部屋で一日中テレビゲームをさせたりDVDを観せたりしていたのです。そうすれば自分たちは手が掛からず、補助金で楽して運営できるからです。

 

悪質な「囲い込みビジネス」が横行するなか、著者は…(画像はイメージです/PIXTA)
悪質な「囲い込みビジネス」が横行するなか、著者は…(画像はイメージです/PIXTA)

 

本来の施設の役割は、子どもたちの自立を支援して訓練し、将来的に世の中で自分の力を使いながら生きていけるようにすることです。それなのに一日中ゲームをさせたりアニメを観させてどうなるのか。

 

大人になっても同じことをして生きていくわけにもいきません。子どものときに、ある程度行動パターンは決まってしまう。じゃあ、どうするのがいいのか。そう考えて僕たちがつくっていったのが「遊びながら、自立に必要なことが身につく」ためのプログラムです。

 

でもいくら大人になって必要なことだからと、嫌々させるようなものでは意味がない。遊びの要素を取り入れながら学べることを大事にしました。教育と娯楽を融合させたエデュテイメントプログラムです。

 

[図表1]放課後等デイサービス「ココトモ」のプログラム

当事者だけでなく保護者自身も苦しんでいることが多い

さらに大事にしたのが保護者の方との連携です。

 

これも障害福祉の現場に入って痛感したことですが、保護者の方々自身もいろいろな問題を抱えて苦しまれているケースがとても多いのです。そうした保護者の方と連携して、サポートもできるようにすることも重要だと考えました。そのためには職員の知識や技術、モチベーションも相当高く保てるようにしないとできないのです。

 

そのうえできちんと子どもたちと接する時間をつくる必要があります。

 

放課後等デイサービス施設の運営では、事業者は各施設に必ず児童発達支援管理責任者を常勤で1名置くことが義務づけられているのですが、その責任者が本来の役割である子どもたちの情報を統括する仕事がなかなかできていないというのも課題でした。複雑で手間のかかる書類作成などの事務に時間を取られて、子どもたちと向き合えない現実があったのです。

 

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発達障害でIT社長の僕

発達障害でIT社長の僕

齋藤 秀一

幻冬舎メディアコンサルティング

発達障害は一見して「障害」とは分かりにくく、周囲の理解を得づらいため、生きづらさを抱えてしまうのです。 本書では、発達障害グレーゾーンの特性をIT分野で活かし経営者となった著者が、障害を才能に変え、自分の居場所…

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