AirbnbやUberなど、日本でも話題になっているスタートアップ(ベンチャー)企業。それらの中で、非上場でありながら企業評価額が10億ドルを越えるものは「ユニコーン」と呼ばれます。技術の進歩で、能力と運さえあれば、世界中の誰しもがユニコーンを目指せる今、大きな夢を見て奮闘するスリランカのスタートアップについて全5回でお伝えします。

「ユニコーン」は存在しないからこそユニコーン!?

現在スリランカには160以上のスタートアップ(ベンチャー)企業が確認されており、スタートアップが創出するマーケットも活発になってきている。しかし、一夜で魔法のように大成功をおさめるスタートアップというイメージの裏には、多くの困難や失敗があることには、人々はあまり意識をしない。スリランカでスタートアップを創業した経営者たちは、スタートアップの現状や、スリランカでスタートアップを立ち上げることについて、どのように考えているのだろうか。

 

スリランカ最大の通販サイトを運営するTakasの創業者でCEOのPathmalal氏は、ただ存続し続けるためではなく、会社として何を行っていくべきか考えていくことを大切にしている。彼がTakasを始めるにあたり、まず3年以内に実現すべき「漠然としたアイデア」をまとめ、それに基づいて活動をした。もしそのアイデアが形にならなかった場合は、諦めて他の事業に挑戦するつもりだったのだ。

 

無事に創業から3年が過ぎ、4年目に入ったTakasだが、投資家たちはTakasがここ1年半ほどの間は大きな成長を見せていないと、Pathmalal氏を非難している。

 

彼はそのために、自分は失敗したのだと思いつめてしまった。だがAmy Wilkinson氏による『ザ・クリエイターズ・コード』(未邦訳)を読んで、その考えを変えることができた。本を読み、内容を理解し、著者本人にも直接会って、Pathmalal氏は大局観を持つ大切さを思い知ったのだ。スタートアップが憧れる「ユニコーン企業」にはなれないとしても、「Takasは決して失敗したわけではありません」と彼は言う。

 

さらに彼はこう付け加える。「ユニコーンは実際には存在しないからこそ、ユニコーンなのです」

AirbnbもUberも、知られていない苦労を経ている

Pathmalal氏によれば、問題なのは企業が何年もの間、知名度も上がらず、市場に適応しないまま、学びも成長もなく続いていくことだと言う。そこで、みんなは事業が大当たりする魔法を考える。おとぎ話のように一夜で大成功を手に入れること、つまりユニコーンなることを夢見るのだ。企業家、投資家、そして部外者までもがその夢物語を鵜呑みにするが、実際の成功はそんな簡単ではないことを忘れてしまっている。

 

「民泊サービスのAirbnbもタクシー配車サービスのUberも、ビジネスが軌道に乗るまでに7年もの歳月がかかっています」とPathmalal氏は話す。また、自分たちが向き合っているマーケットをより理解するにつれ、両社は「ピボット」、つまり事業方針を大きく転換させてきたのだ。

 

AirbnbやUber、それに宇宙開発のSpaceX社や電気自動車のTesla Motors社を引き合いに出して、彼は説明を続ける。「人々が敬意を払って話題に出すこれら企業も、決して始めからユニコーンではないのです。メディアに注目されるようになったのも創業者による長年の努力があったからで、何も一夜で大成功を収めたわけではないのです。」

 

 

次回は、スタートアップにとって爆発的な成長がいかに大切なのかをお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年5月に掲載した記事「SEVEN TRUTHS FROM STARTUP FOUNDERS」を、翻訳・編集したものです。

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