せっかくのマイホームとなれば妥協したくないもの。誰しも、せっかくお金をかけるならオリジナリティある家にしたいと思うでしょう。そこで惹かれるのが「自由設計」。しかし「自由」とついても法律やメーカーごとの基準で縛られていて、一般人が思うほど自由ではありません。元住宅営業マンが明かす「自由設計」の現実を紹介。※本連載は屋敷康蔵氏の著書『人生を賭けて「家」を買った人の末路』(PHP研究所)より一部を抜粋・再編集したものです。

実質「自由設計の間取り」も「普通の間取り」も一緒

「やっぱり、せっかく家を建てるなら自由設計でしょ! 普通の間取りじゃつまんないし、自分の使いやすいように部屋の配置を考えたほうがいいでしょ」

 

そんなふうに皆さんよく言われますが、そんなに「普通」では満足できないものでしょうか? プラン集やいろいろな間取り集を並べてよ〜く見てください。どの間取りも、リビングは家族が集まり一番長い時間過ごす場所なので、ほとんどの家は南東の日当たりのよい場所にあります。和室にせよ洋室にせよ「居室」と呼ばれる部屋は、基本的に南側。水回りはどこの家も北側というのが、1000通りの間取りがあっても、ほぼ共通する配置になるはずです。

 

昔からそういう部屋の配置が、生活するうえで最も機能的であり、快適なのも事実です。それを「自由設計」だからといって、風呂を南側に配置したり、居室を北側に配置する人は、まずいないでしょう。

 

そういう意味では、究極的には部屋の配置はどこの家も一緒なんですね。でも「自由設計」というだけで、なんとなくいろいろと部屋の配置を考えないと気が済まなくなるのがお客様です。

 

「決められた間取りは嫌だ、自分の使いやすいように設計してもらいたい」というお客様も多く、そういう方は「規格住宅・規格図面」を嫌います。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

規格住宅は「使いやすい間取り」を低コストで実現

「規格住宅」とは、すでに住宅メーカーで設計された決められた図面を選び、それをそのまま建ててもらう商品のこと。よく誤解されるのが「規格住宅だとオリジナリティがない」「使いにくそう」というものですが、とんでもない偏見です。

 

まず住宅メーカーが、わざわざそんな人気のない間取りを商品化する理由がありません。これまでに何百、何千という間取りプランを作成してきた住宅メーカーです。過去に自由設計で要望の多かったプランを規格住宅として再現し、量産することで、自由設計よりもコストを抑えてお客様に提供できるようにした商品が「規格住宅」なのです。

 

お客様によっては「規格住宅」というだけで、自由設計より「格下」に見る人もいますが、むしろ「規格住宅のプラン集」に気に入った間取りプランがあれば、自由設計と比べて建築費をかなり安く抑えられるわけですから、買い物上手以外の何ものでもありません。「規格住宅」は人気の間取りの結集なのです。

 

ちなみに、自由設計としてお客様に提案するプランをこの「規格住宅のプラン集」の中から抜粋して、さもお客様向けに一からつくったかのような顔でシレッと出してくる営業マンもいます。規格プランの中から、お客様の要望に近いプランをコピペして、風呂と洗面所の位置を逆にした程度に加工した図面を、「いやー、昨日遅くまで頑張ってつくりましたよ!」とお客様に提示するのです。そうすると、あれほど規格プランを小馬鹿にしていたはずのお客様も、あら不思議、「うわー、素敵!! さすがプロ」と絶賛します。

「家相」優先の間取りは使いにくくなりがち

次に「家相」についてです。「家相」を気にする人は多いです。家相とは「家相盤」というものを基に、方角と家の間取りの配置から運気をはかる考えで、日本では平安時代からあるものです。ごく簡単にいってしまうと、鬼門が北東で裏鬼門が南西。ここに水回りや玄関などを配置すると「凶」となるので、鬼門を避けて配置するという考え方です。

 

でも、この「家相」を優先して間取りを考え始めてしまうと、非常に使いにくい間取りとなるのも事実です。以前、私のお客様にも家相マニアのような方がおり、私と間取りの打ち合わせをすると、その足で家相の先生のところへ行って図面を見てもらう…を毎回繰り返していました。

 

当然、毎回何かしら家相上のケチをつけられ、その都度間取りの打ち合わせは振り出しに戻ってしまいます。そりゃそうですよね、家相の先生は指摘することでお金をもらうわけですから。毎回、無理くりにでも私のつくった図面の悪いところを探すわけです。そうなるともう、打ち合わせは終わりのない無限ループ状態に突入してしまいます。

家相と使い勝手を両立させる打開策「風水」

ただ、この家相の呪縛(じゅばく)から解放される素晴らしい古代中国の思想があります。それが「風水」です。家相は変えることができませんし、一旦つくってしまった部屋の配置は「家相が悪いから」と、解体してつくり直すわけにもいきません。

 

「どうしてもこの間取り・部屋の配置にしたいのだけれど、家相上悪い配置だ。でも使い勝手を考えたらこの間取りは変えたくない…」

 

そんな方は風水を勉強すると、いろいろな解決策が見つかります。すでに鬼門に玄関がある家、設計上どうしても鬼門に水回りがきてしまうなど、避けられない状況の打開案を教えてくれます。

 

たとえば、「鬼門の玄関には観葉植物を置くといい」「〜には黄色いものを置くといい」など、家相上で「悪い」といわれる状況を、インテリアや置物の色などで「気」の流れを変えて改善する方法を教えてくれます。

 

ただし、家相にしても風水にしても、凝り出したらキリがないので何事もほどほどに…。

 

 

屋敷 康蔵

一般社団法人建物災害調査協会 理事

 

 

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屋敷 康蔵

PHP研究所

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