安定したリターンを得ながらリスク分散ができる「私募リート」。前回は、私募リートを運用するために必要な手続きについて説明しました。今回は、私募リートを組成する資産運用会社と投資法人の組織・体制について見ていきます。

資産運用会社のガバナンス体制とは?

資産運用会社と投資法人の組織・体制について確認しましょう。

 

まず、資産運用会社のガバナンス体制は一般に以下のような構成になっています(各機関の名称に関しては、個々のリートによって細かな違いがあります)。

 

①取締役会

経営戦略を含む経営の基本的重要事項についての意思決定を行う。取締役会は原則として3ヶ月に1回以上開催され、業務執行の最高意思決定機関として、業務執行の基本方針その他法令に定める事項を決定し、取締役の職務の執行を監督する

 

②投資委員会

資産運用を受託する投資法人の資産の運用等に関する事項を審議し、投資判断の際の決議を行う

 

③コンプライアンス委員会

コンプライアンス上の問題等に関する事項を審議し、決議を行う

 

④コンプライアンス・オフィサー

コンプライアンスに関する業務の統括を行う

 

【図表 資産運用会社の組織図】

センコー・アセットマネジメントの例
センコー・アセットマネジメントの例

資産運用会社の運用業務を監視する「投資法人

一方、投資法人は実質的な業務は行いませんが、資産運用会社の運用業務を監視するために必要となる最低限の機関を以下のような形で備えています。

 

①投資主総会

株式会社の株主総会に相当するもの。投資主によって構成され、規約の変更、執行役員の選任などに関する決議を行う

 

②執行役員

投資法人の業務を執行する権限をもつもの。投資法人の代表権を有する

 

③監督役員

株式会社の監査役に相当するもので、執行役員の職務執行の監督を行う

 

④役員会

執行役員と監督役員により構成される機関。投資法人の重要な業務に関して意思決定を行う

 

⑤会計監査人

株式会社の会計監査人と同様に会計監査を行う

本連載は、2016年1月25日刊行の書籍『世界一わかりやすい私募REITの教科書』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい私募REITの教科書

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初村 美宏

幻冬舎メディアコンサルティング

取引所に上場せず、オープンエンドで運用される不動産投資ファンド「私募REIT」。 1990年代にアメリカで人気となり日本でも2001年から発売が開始、不動産投資市場でも急成長を遂げている人気の投資商品である。主な投資者は機…

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