日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、厚生労働省の調査から、さまざまな観点で私たちの「賃金」について見ていきます。

コロナ禍の賃金…地域によって格差が生まれている

全国平均では前年比0.6%増と、ほぼ横ばいという結果ですが、地域ごとに見ていくと差異が生じています。全国47都道府県のうち、所定内給与額が前年より下落したのが23。そのうち最も下落幅が大きかったのが「大阪府」。前年33万2200円から32万500円と、前年から1万1700円のマイナスとなりました。そのほか、「高知県」1万1500円減、「奈良県」8400円減、「北海道」8000円減、「福岡県」7600円減と続きます(図表1)

 

出所:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』より作成
[図表1]都道府県「所定内給与額」減少額上位10 出所:厚生労働省『賃金構造基本統計調査』より作成

 

一方で最も増加幅が大きかったのが「富山県」で、27万7100円から28万7900円と1万800円のプラス。以降、「京都府」で9800円増、「香川県」で8900円増、「山形県」で6600円増、「鳥取県」で6300円増と続きます。

 

一部の企業が賃金が地域の平均賃金を押し下げていたり、またはその逆であったりという事情はありますが、このコロナ禍、日本全国どこでも賃金は前年並みとはいかないようです。

 

さらに概算年収で比べてみましょう。男女計で最も年収が高いのが「東京都」で概算で595万2300円。「神奈川県」で536万9700円、「愛知県」513万2500円、「大阪府」504万3600円、「京都府」490万600円と続きます(図表2)

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より作成 ※男女計からの推計
[図表2]都道府県「平均年収」上位10 出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より作成
※男女計からの推計

 

男性だけに限ると、「東京都」が最も高く、概算年収は661万1400円。「神奈川県」「大阪府」「愛知県」「京都府」と続きます。女性だけに限っても「東京都」が最も高く、概算年収は468万2200円。「京都府」「大阪府」「愛知県」と続きます。

 

トップ5の顔ぶれは同じですが、男女で見ていくと、多少の順位の変動が見られます。また所定内給与額がでは9位の「滋賀県」が6位に、12位の「千葉県」は9位に。諸手当や賞与が大きく、年収換算にするとランクアップという結果に。もちろんその逆のパターンもあり、「静岡県」(10位→13位)などは、諸手当や賞与によりランクダウンとなりました。

 

一方で最も概算年収が低いのが「青森県」で366万7900円。トップの「東京都」とは228万4400円の差が生じています。続いて「沖縄県」が374万4030円。「秋田県」275万8000円、「岩手県」379万3300円、「宮崎県」384万200円と続きます。

 

このように、賃金には地域間でに大きな差があることがわかります。ただ住居費や生活費など、各々事情は異なるので、豊かさとはイコールではありません。ただ「このコロナ禍で生活は厳しい……」「先行きが不安」というのは、多くの共通認識ではないでしょうか。

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