土地活用の第一歩は「目的を明確にする」ことから
マンション経営を始める理由は、親から相続で引き継いだ、節税対策のため、今後の資産形成のため・・・などそれぞれに理由があるかと思います。
しかし、これから土地活用を始めようと考えている皆さんに一つ肝に銘じて頂きたいのが、賃貸マンションやアパート経営は「事業」であり、大家というのは事業主の一形態であるという事です。マンション経営は建てて終りではなく、そこから「事業」が始まるのです。
マンション経営を始めるということは、起業するのと同じことなのです。だから長期ビジョンや経営計画書なども必要ですし、金利や利回り、税金のことも理解しておく必要があるのです。
日本経済が右肩上がりで成長している頃なら、建物を建てれば黙っていても価値が上がっていきましたが、今はそういう時代ではありません。ましてやこれから、少子化は確実に進んでいきます。それなのに何の戦略も持たず、どんなリスクがあるのかも理解しないまま大手建設会社から言われるままに建物を建てたら、失敗しない方がおかしいと思いませんか?
一番重要なのは、オーナー様が自分は経営者であるという自覚と覚悟なのです。そのうえで、自ら考え経営していくことがマンション経営の成功には不可欠なのです。そして、土地活用を始める第一歩は「目的を明確にする」ということです。
土地活用の方法は一つではなく、オーナー様の目的によってその活用方法は変わってきます。目的を明確にしたら次に目的を達成するための土地活用の方法の検討します。立地、面積、形状などの諸要素を考慮して最適な活用方法を決定します。
土地活用の種類は3つ。それぞれの特性とは?
そこで、活用方法を決定する際に、どんな土地活用の種類があるのか、そしてそれぞれの特性を知っておくことが重要です。土地活用の種類は「建物を建てて貸す」「土地だけを貸す」「土地を貸し、建物は建ててもらう」の3つに分けることができます。
A.建物を建てて貸す
(活用例)賃貸マンション、賃貸アパート、戸建賃貸、高齢者住宅、店舗ビル など
B.土地だけを貸す
(活用例)駐車場、コインパーキング、トランクルーム、貸し農場 など
C.土地を貸し、建物は建ててもらう
(活用例)コンビニエンスストア、ファミリーレストラン、スーパー銭湯 など
そして以下の図表が土地の有効活用の特性比較表です。
【図表 土地の有効活用の特性比較表】
上記の図表を見ると最もバランスがとれ、なおかつリスクが低いのは「賃貸マンション」の建築と経営で、その次が「賃貸アパート」だというのがよくわかります。
ただし、賃貸マンションやアパートの経営状態は立地によりかなり左右されます。ですから、地域の人口・世帯数の推移・一世帯当たりの人数・居住者の年齢層、近隣の施設などの周辺状況、それからすでにある賃貸マンションの入居率などの綿密な事前調査なども欠かせません。そのうえで、市場性の高い地域であるという結論が出たならば、ようやく賃貸マンションやアパートの建築と経営が視野に入ってくるのです。
また、対象の土地が賃貸マンションやアパート経営に適していたからといって、即建物を建てていいかというと、そんな事はありません。どんな入居者をターゲットにするのか、そのターゲットにはどんな間取りやデザインが適しているのかなど、検討しなければならないことはいくつもあります。
これらを端折って安易にファミリー向け、単身向けなどと決めてしまうと、せっかくいい立地にありながら、それを活かしきれていないという事にもなりかねないので、その辺りは注意が必要です。土地活用には様々な種類があり、それぞれにメリットもデメリットもあります。失敗しないためには、土地活用の目的とその土地の環境、メリット・デメリットやバランスをみることが大切です。