賃貸経営の収益性と安全性を判定する「投資分析」の方法

今回は、賃貸経営が的確な投資かどうかを判断する「投資分析」について見ていきます。※本連載は、これまでに300棟以上の賃貸マンション等の建築・プロデュースの実績がある、西田芳明氏の書籍『土地活用の成功学』(クロスメデイア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・再編集し、マンション黒字経営を実現するための「土地活用の成功学」をご紹介します。

投資分析の基本は「キャッシュフローツリー」の作成

賃貸マンションやアパート経営で考えなければならないことの一つは、その物件が確実な利益をもたらすかどうかという事です。そしてそれは「利回りが○%だから大丈夫」という単純な話ではありません。賃貸マンションやアパート経営というのは投資の一形態です。

 

それが的確な投資かどうかを判断するには、さまざまな投資指標の数字に加えて、ローン返済や空室などのリスクを正しく把握したうえでの緻密な投資分析が必要になってきます。

 

1.キャッシュフローツリー

 

投資分析の基本はキャッシュフローツリーの作成です。これは家賃収入から手取り収入までの一連の流れをまとめたもので、これを理解していれ、資金繰りが原因の土地活用の失敗は大幅に減るといっていいでしょう。

 

下記の図表がキャッシュフローツリーのつくり方です。

 

【図表 キャッシュフローツリー

2投資分析

 

キャッシュフローツリーが完成したら次は投資分析を行っていきます。

 

投資分析では、マンション経営の「収益性」と「安全性」を判定することができます。そして、現在のマンションを将来売却した時、トータルとしてプラスになるのかという「換金性」もここには含まれます。その収益性が適正なのかそうでないのかを見るには、まず次の3つの指標を算出します。

 

①銀行の返済率(K%)

 

銀行の返済率(K%)=年間返済額÷借入額

 

銀行から1億円借りて毎年450万円返済している場合、銀行から見れば資産1億円を年利4.5%で運用していることになります。

 

②投資の収益率(FCR

 

投資の収益率(FCR)=営業純利益÷総投資額

 

投資金額で1億円の物件を購入し、営業純利益が700万円だったとします。この場合投資の収益率は7%です。

 

③自己資金の収益率(CCR

 

自己資金の収益率(CCR)=税引き前キャッシュフロー÷自己資金

 

自己資金2000万円、借り入れ8000万円で建築し税引き前キャッシュフローが300万円だったとすると、自己資金の収益率は15%となります。

 

次にこの3つの指標を比較します。

 

この3つの指標の関係が下の式になっていることが重要です。(レバレッジ判定といいます。)

 

レバレッジ判定:K%<FCR<CCR

 

もし、ご自身の投資金額のバランスが上記の式にあてはまらない場合は、投資を見直した方がよいといえます。

返済倍率損益分岐点返済比率で安全性を見る

次に安全性を見る指標は次の3つです。

 

①返済倍率(DCR)

 

返済倍率(DCR)=営業純利益÷年間返済額>1.3

 

これはマンション自体が生み出す利益は、年間の返済額の何倍あるかを示すものです。安定した経営のためには1.3倍以上が望ましく、1倍以下だと持ち出し分があるということになります。

 

②損益分岐点

 

損益分岐点=(運営費+年間返済額)÷総潜在収入<75

 

これは家賃の下限を決める指標で、収入と支出から簡単に算出できます。これが75%以下なら合格です。たとえば損益分岐点が70%の場合は、家賃の下落と空室増加による収入減がまだ30%大丈夫ということですから、かなり余裕があると言えます。

 

③返済比率

 

返済比率=年間返済率÷総潜在収入<50

 

これは、借入返済は家賃の何%以内に納まっているのかという指標です。これが50%以下で収まっていれば大丈夫です。

 

これらの指標がわかっていれば、「この物件は損益分岐点が72%だから、悪くはないが少し大変かもしれない」「返済倍率が1.3%だったら、ギリギリ大丈夫かな」というように、投資として適しているかどうか、自信を持って判断を下せるようになります。

 

そして、すでに賃貸経営をしているという方も「家賃はここまで下げても経営としては大丈夫」「返済金額の割り合い大きすぎるから借換えを検討しよう」など、ご自身の経営状態を常に把握することで健全な経営判断ができるのです。建築会社の言葉を鵜呑みにして建物を建ててしまい、後悔しても後の祭です。土地活用をするのであればぜひ自分でも投資分析の知識を身に付けて下さい。

進和建設工業株式会社 代表取締役
株式会社資産パートナープランナーズ 代表取締役
進和ホーム株式会社 代表取締役 一級建築士/建設コンサルタント

1951年大阪府堺市生まれ。1987年4月に2代目進和建設工業社長に就任。
地域密着で建設事業と資産コンサルティング事業を展開し、これまでに300棟以上の賃貸マンション等をプロデュースし、それらの入居率は95%以上を保っている。そしてさらなるマンションの開発、技術の向上、低コスト化にも力を注いでいる。また、建築コンサルタントとして高利回りを産むマンション建設をアドバイス。マンション経営セミナー等での講演実績も多数あり、2013年、2014年、2015年と3年連続で日経相続・事業継承フォーラムでの講演しており、建設会社だから知りうる土地活用の真髄をついた話で好評を得る。
著書に「行列ができるマンション経営」「トップは志をつくりなさい」「土地活用の成功学」がある。

著者紹介

連載マンション黒字経営を実現する「土地活用の成功学」

本連載は、2014年12月1日刊行の書籍『土地活用の成功学』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

土地活用の成功学

土地活用の成功学

西田 芳明

クロスメディア・パブリッシング

なぜ、マンション経営で失敗してしまう地主・家主様が後を絶たないのか。安易なマンション経営計画を立ててしまうと、マンション経営は必ず失敗するようにできているからです。 本書ではマンションオーナー様に「経営者という…

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