今回は、賃貸マンションの経営で避けるべき「デッドクロス」という現象を見ていきます。※本連載は、これまでに300棟以上の賃貸マンション等の建築・プロデュースの実績がある、西田芳明氏の書籍『土地活用の成功学』(クロスメデイア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・再編集し、マンション黒字経営を実現するための「土地活用の成功学」をご紹介します。

手取り金額より申告所得額が大きくなるデッドクロス

賃貸マンションオーナーには、資金繰りで苦しんでいる人が少なくありません。しかし、それは実は仕方のないことだとも言えるのです。なぜならマンション経営は何も手を打たなければ年月とともに資金繰りが悪化する、そういう仕組みになっているからです。その原因は「所得税、法人税の増加」に原因があります。

 

賃貸マンションやアパ―トなどは、大半の人が借入金を利用して購入します。そうすると、最初のうちは元金返済より減価償却費のほうが大きいので所得税の節税になります。しかし、築8~12年でこれが逆転するという現象がおこります。実際に現金は出ないが経費にできる減価償却費はだんだん少なくなり、実際にお金が出ていくのに経費にできない元金返済額がだんだん多くなるのです。

 

これにより、手取り金額より申告所得額のほうが大きくなってしまいます。この現象を「デッドクロス」といいます。

 

【図表 デッドクロスの仕組み】

元金返済額と減価償却費のバランスが重要

このデッドクロスを知らないと、黒字倒産という事態にもなりかねません。しかし実際にはほとんどの賃貸マンションオーナーは建設会社からこういう説明を受けていません。マンションやアパート経営をする際は、必ず10年、15年の税金がどうなるか確認する必要があります。

 

そしてデッドクロスを回避するには、常に元金返済額と減価償却費のバランスを確認し「 元金返済 < 減価償却費 」という状態にすることです。そしてデッドクロスを回避するには次の5つの方法があります。

 

1.事業規模にする 

賃貸マンションを事業化することで、青色申告特別控除や専従者給与などの経費を新たに発生させることができます。

 

2返済期間を延長する 

こうすることで毎年の元金返済額を減らすことができます。

 

3繰り上げ返済を実行する 

繰り上げ返済によって元金そのものを減らしてしまえば毎年の元金返済額は必然的に小さくなります。

 

4追加の物件を購入する。土地活用で建物を建てる 

新しい物件を購入し損益通算を行えば、減価償却費が増えます。またその際借入金が発生すれば、利息の支払いが経費として新たに計上できます。

 

5現在の賃貸マンションを売却、あるいは買い替える 

この場合はできるだけ高く売却するに越したことはございません。そしてそれには知識やノウハウが必要です。

 

本当に状況が悪化してしまった場合は、不動産の売却や購入によって「入れ替えていく事が必要不可欠となります。不動産の入れ替えは非常にリスクの高い方法です。資金繰りは融資の借り換えや期間の変更でも可能ですので、早めに手をうつことが重要です。

本連載は、2014年12月1日刊行の書籍『土地活用の成功学』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

土地活用の成功学

土地活用の成功学

西田 芳明

クロスメディア・パブリッシング

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