日本の持ち家率は60%を超え、マイホーム購入に至る年齢は40歳前後というのが一般的。人生の折り返し地点で多額のローンを追うと、どのように返済していくことになるのでしょうか。埼玉県さいたま市「武蔵浦和」のとある新築マンションを購入した40代会社員を例にみていきます。

「ローン完済は70代」は現実的か?

新築マンション購入者の平均像といえる、前出の40代会社員。厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』によると、大卒男性40~44歳の平均月給は42万9500円、諸手当や賞与をプラスした年収は40~44歳で544万3700円。毎月の手取り額は33万円ほどになります。

 

さらに新築マンション購入者の平均である2702万円を以下の条件で借り入れたとしましょう。月々の返済額は、いくらになるのでしょうか。

 

[借入条件]
・返済方式 元利均等
・返済頻度 毎月
・当初金利 2.5%
・それ以降の金利 3.0%
・返済期間 30年

[返済額]
返済額(~5年目) 10万6761円
返済額(5年目~) 11万2852円
利息分 1324万1356円
返済総額 4026万1356万円

 

概算ですが、利息だけで1300万円強にもなり、返済総額は4000万円を超えます。そして毎月の返済が10万円強で、毎月の手残りは23万円ほど。前出の会社員は、これで家族4人の生活費、さらに子どもが大きくなるにつれて増えていく教育費をまかなわなければいけません。世帯主だけの収入だけでやっていこうとしたら、家計は毎月火の車、といっても過言ではないでしょう。

 

さらに問題は定年後。前出の会社員の場合、定年の60歳で1300万円、年金の受給が始まる65歳では800万円近くの借入が残り、完済時には70歳を超えます。

 

受給される年金を考えてみましょう。配偶者は同年齢で、結婚するまでは正社員として働いていたとします。65歳で手にできる年金額は、世帯主の老後厚生年金11.3万円、老後基礎年金6.4万円、配偶者の老後厚生年金1.9万円、老後基礎年金6.4万円。夫婦で毎月26万円の公的年金を手にすることになります。

 

定年から年金の受給が始まる5年間、生活費+ローン返済分の貯蓄がなければ家計は破綻。年金受給が始まってからは、15万円程度が生活費になる計算です。

 

総務省『家計調査家計調査編2020年』によると、65歳以上世帯(二人以上世帯・無職)の消費支出は毎月23万514円。月々15万円程度の生活費では、平均的な暮らしは送れそうもありません。

 

40代の平均的な会社員が新築マンションを購入。世帯主だけの収入だけでは、とても家計はまわっていかなそうです。配偶者にも働いてもらい、老後資金を見据えながら、いかに早く借入を返済するか。巧みな家計運営が求められます。

 

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