賃貸物件の建つ土地、入居率で相続税評価額が変わる?
●空室が一時的なものと判断されればOK
「貸家建付地」の評価額は基本的に、自用地の評価額から借地権割合と借家権割合を乗じた割合を控除したものですが、アパートや賃貸マンションのように、建物に複数の独立した住戸がある場合、それぞれの住戸が賃貸されているかどうか(空室かどうか)という「賃貸割合」も考慮されます。
基本的に、全住戸の床面積に対して満室になっている住戸の床面積の割合しか、貸家建付地として評価は下がりません。
ただ、相続税の課税時期(被相続人の死亡の日)において、下記の判断基準から総合的に判断し、一時的に賃貸されていなかっただけだと認められる場合には、その面積を上記(B)に加えます。
「貸家建付地」の評価における一時的空室部分の判断基準
①各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること
② 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていないこと
③空室の期間が、課税時期の前後の例えば1カ月程度であるなど、一時的な期間であること
④課税時期後の賃貸が一時的なものではないこと
貸駐車場にしている土地の評価はどうなる?
●貸駐車場は宅地ではなく雑種地として評価
基本的に、土地をそのままの状態で青空駐車場として貸している場合、フェンス等を設置したりしても、相続税では更地(自用地)として評価されます。
貸駐車場は、その場所で自動車の保管を引き受ける契約であり、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは異なります。そのため、駐車場の利用権が土地に及ばないと考えられるからです。
なお、駐車場として利用されている土地はほとんどの場合、宅地ではなく雑種地として評価されます。
雑種地の価額は、その雑種地と状況が類似する付近の土地について評価した1平方メートルあたりの価額をもととし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の面積を掛けて評価します。
ただし、車庫などの施設を駐車場の利用者の費用で造ることを認めるような契約の場合には、土地の賃貸借(貸宅地)になり、その土地の自用地としての価額から、賃借権の価額を控除した金額によって評価します。
また、アスファルト舗装やコインパーキング用の設備などを設置した場合、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」不動産貸付用による評価減の適用が受けられることがあります。
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