中山てつや氏は著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場における諸問題について語っています。当記事では、中山氏のキャリアコンサルティングとしての実務経験をもとに、日本の企業における問題点を考察していきます。

「嫉妬心」に駆られた上司が驚きの行動に

同僚や後輩が、自分を差し置いて昇格したり、抜擢されたりすると、誰しも、少なからず羨ましく思うのは、やむを得ない人情かと思います。しかし、相性が悪かったりすると、嫉妬した相手を蹴落とすべく、実際に行動に移す輩がいるので要注意です。

 

著者が日系企業で、新規事業の立ち上げをしていた時の話です。

 

当時の上司は、ワンマン社長から絶大なる信頼を得ており、「期待の星」的な存在でした。その期待の星と共に、新規事業を立ち上げることになったのです。

 

この上司、当初はそれほどでもなかったのですが、仕事をしていくうちに「どうも相性があまり良くない」と気づくようになります。次第に、お互いにどうもしっくりこないと感じ始めた頃、社長を交えた会議がありました。

 

「どうだ、今度の彼は?(私のことです)」

 

社長が尋ねると、上司は少し間をおいて、

 

「そうですねえー。うーん、そのですねえー」

 

と、顔をしかめながら、苦しそうな表情で、明確な返事をしません。予想外の反応に(おそらく、ですが)少し戸惑った社長は、

 

「まあ、頑張ってくれや」

 

と声をかけて、その話題は終わりましたが、あまりにも露骨な対応に、どうも納得がいきません。かといって、社長が評価している上司に対して、思い切った行動に出ることもできず、結局、そのままうやむやにしていました。

 

その後、事業の準備は着々と進み、大きな山を越えた頃です。突然、人事異動の発表があり、私は急きょ、その事業から離れることになりました。聞くところによると、上司が社長に対して、私の立場が悪くなるように働きかけていたようです。

 

突然の人事異動…(画像はイメージです/PIXTA)
突然の人事異動…(画像はイメージです/PIXTA)

 

上司は当時、社長の大のお気に入りでしたから、彼の言うことすべてが真実と受け取られたのでしょう。降格という話もあったのですが、他の役員が未然に防いでくれたと聞いています。

 

この場合、相性の背後に潜むのが「嫉妬心」です。将来的に、少しでも自分の地位を脅かす可能性のある者に対しては、早めにその「芽を摘んでおく」ということになるのでしょうか。

 

相性が悪い相手に対しては、なおさらです。余談ですが、この会社の社長、損得勘定の働く人物のようで、「期待の星」もほどなく干されることになります。

 

相性とは直接関係ないのですが、著者自身も、強い嫉妬心に取りつかれたことがあります。まだ若かりし頃、同期が自分より早く昇格した時です。それまでは、常に先を行っていたものですから、天狗になっていたのかもしれません。嫉妬心にかられると、実によろしくない精神状態に陥ります。理屈では分かっているものの、どうしても冷静に、感情をコントロールできなくなります。

 

くれぐれも、用心しなければなりません。なお、嫉妬という漢字には女偏が入っていることもあり、一般的に、女性のほうが嫉妬しやすいと思われがちですが、心理学的統計によると、男性に軍配が上がるそうです。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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