3月に公募開始のアナウンスがされている「事業再構築補助金」ですが、認定支援機関に補助金採択は難しいと判断される事例があるといいます。企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏は「補助金採択が難しいとされる事例には、いくつかのパターンがある」といいます。今回は具体的にどのようなパターンがあるのか、見ていきましょう。

パターン2.そもそも事業性に疑義がある

強みを活かした再構築案があり、再構築に必要な費用項目と概算見積額もあるとします。

 

次に考えるべきは事業性です。平たく言うと投資回収できますか、儲かりますか、という視点です。既存の事業を非接触型、デリバリー型へ移行するのであれば、売上高の予測を立てることは可能です。もちろん、やってみなければわからないことですが、新型コロナ前と同額や、8割程度の予測でも良いでしょう。経費に関しては、精緻な計算ができるはずです。これらの売上高と経費計画を元に損益分岐点、投資回収期間等が算出されるはずです。

 

非接触型、デリバリー型はこれまでの経験に基づいた予測も可能ですが、強みを他サービス(市場)で展開のケースでは、売上高の計画策定は困難です。できれば他サービス(市場)への展開の場合は、1社でも良いので仮受注が欲しいところです。難しいのであれば「もし当社がこの商品を製造した場合には、A社は年間OO万円の発注を検討する」というA社のコメントがあるとベターです。可能ならば、A社から見た当社製品が既存商品より優れている点等のコメントをもらいましょう。

 

前項の強みを活かすと比較すると、事業性の妥当性を主張しきるのは難しいでしょう。もちろん、現在と同商品・サービスを非接触型、デリバリー型に変更する場合は別です。

 

審査側もこの状況はよくわかっていますから、可能な範囲で申請支援者とともに詰めていくほかないと思います。筆者ならば見込み客の獲得方法、費用、想定見込客数から始まり、その後の商談率、契約率、売上単価、粗利率を計画に落とし込みます。つまり売上総利益の計画を立て、さらにその根拠となる数字を作ります。おそらく大外れの項目もあるでしょうが、やりながら修正し最後の売上総利益を確保します。新しいことをやるのだから見込が外れるのは当たり前。その代わり時間が経過すればコントロールが効くようになりますから、安心して補助金を出してくださいというメッセージになります。

パターン3.再構築用の資金調達

強みを活かす再構築計画であり、その事業性についても十分な妥当性を主張できたとしても、資金が無ければ実現しません。一般的に補助金は、企業が投資・経費を全額支払った上で、その支払い実績と給付申請書を一緒に提出した後に給付されます。つまり、企業は立て替える必要があります。おそらく立替期間は1年程度です。補助金の給付が1年後でも問題ないという企業は、この項は読み飛ばしてくださって結構です。

 

残念ながら、資金繰りに余裕がない企業はどうすれば良いのでしょうか?

 

そうです。現実的には銀行借入しかありません。

 

新型コロナ融資を枠いっぱいまで利用し、深刻な赤字が続く企業こそが、この補助金を必要としています。このような企業は立て替える余裕がなく、再構築費用を全額融資でまかないたいのが本音です。実際の運用が始まる前に明言はできませんが、このケースではかなり融資が困難だと思われます。少なくとも再構築補助金が採択されたという証憑を持参し、融資を依頼する必要がありそうです。

パターン4.補助額が小さい

これは補助金採択の問題でなく、認定支援者側の問題です。再構築補助金の申請支援には相当の工数を要することが見込まれます。

 

一方で、支援者の手数料は一般的に補助額のXX%で設定されます。これらの結果、200万円ほどの補助額では、支援者側は費用対効果が合わないようです。

 

補助額がネックで認定支援機関の支援が難しい場合は、よろず支援拠点の活用を検討してください。

 

 

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