教師=聖職…固定化されたイメージはどこから?
先月、文部科学省より、2020年度採用の公立小学校教員の採用倍率が全国平均で2.7倍と、過去最低になったと発表され、大きな話題になりました(関連記事:『都道府県「教員採用倍率」ランキング…低倍率で問題の県は?』)。一定の競争性があることで教師の質は担保される、という側面があり、萩生田光一文部科学相も記者会見で「教師の人材確保と質向上の両面から、教師の養成や採用などの制度について検討を進める必要がある」と言及しています。
公立校の教員は「地方公務員」に分類され、さらに「教育公務員」とされています。地方公務員なので「地方公務員法」が適用されますが、教育公務員には「教育公務員特例法」が適用されます。特別法は一般法よりも優先されるもので、地方公務員法と国家公務員法を基本にしつつ、教育公務員にのみ適用される特例的事項を定めています。
どんな法律なのか、第1条の「趣旨規定」を見ていきましょう。
この法律は、教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任の特殊性に基づき、教育公務員の任免、人事評価、給与、分限、懲戒、服務及び研修等について規定する。
「国民全体に奉仕」というわけですから、生徒・児童だけを見ていればいい、というわけではない、ということです。
1 この法律で「教育公務員」とは、地方公務員のうち、学校教育法第1条に定める学校であって同法第2条に定める公立学校の学長、校長(園長も含む。以下同じ。)、教員及び部局長並びに教育委員会の教育長及び専門的教育職員をいう。
2 この法律で「教員」とは、前項の学校の教授、准教授、助教、副校長(副園長も含む。以下同じ。)、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭及び講師(常時勤務のもの及び地方公務員法第28条の5第1項に規定する短時間勤務の職を占めるものに限る)をいう。
(省略)
5 この法律で「専門的教育職員」とは、指導主事及び社会教育主事をいう。
公立学校であれば、小学校教師も大学教授も、教育委員会の専門職も、実は同じ教育公務員です。さらに教育公務員特例法の上位にある一般法「教育基本法」の9条を見てみます。
1 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。
「自己の崇高な使命」「絶えず研究と修養」「重要な職責」……随分と仰々しいことが書かれています。このようなことから、いまだに「教師=聖職者」というイメージが強いのかもしれません。