エンダウメント投資とは、米国の名門大学などが実践している「寄付金で財団や基金を設立し、寄付で集められた資産を元本にして運用する投資」のことで、20年以上にわたって安定した利回りをあげています。今回は、エンダウメント投資の4つの戦略を解説します。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『エンダウメント投資戦略』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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戦略2:「分散投資」を徹底してリスクを低下させる

そうはいっても、ポートフォリオの過半をたとえば新興国のインフラのような特定の資産・戦略に集中投資するようなことはありません。基本は、ウィリアム・シャープとハリー・マーコウィッツという二人のノーベル賞経済学者が打ち立てた現代証券投資理論にあくまで忠実に、リスク分散したポートフォリオを構築し、それを淡々と維持することにあります。

 

ここで、投資の教科書に必ず出てくる分散投資の話をしましょう。次の問題を考えてみてください。

 

[Q]分散投資の目的は次のどちらでしょうか?
①リターンを最大化する
②予想されるリスクに対してリターンを最大化する

 

[A]正解は②です。もし、①のようにリターンを最大化したいのなら、一番高いリターンが出そうな資産に集中投資するのが合理的です。たとえば、「これから数年間は日本株だ」と考えて、日本株に集中投資するやり方です。

 

しかし、個人投資家のみならず、多くの機関投資家も経験してきた通り、将来のリターンを正確に予測することは不可能です。かつての日本株のように20年以上投資し続けてもリターンが出ないようなケースは現実に存在します。

 

リターンよりもリスクに注目する

ところが、リターンではなくて、リスクに注目すると話は違ってきます。たとえば、複数資産に分散投資するとしましょう。両者の動きがまったく同じ(相関が「1」)でない限り、ポートフォリオのリスクをより低くすることができます。

 

一方、リターンは組み入れ資産の加重平均ですので低下することはありません。その結果、ポートフォリオのリスク・リターンをより効率的にすることが可能になるのです。

 

【図表1】分散効果の例

 

エンダウメントは、このような考え方に基づいて相関が低い資産をポートフォリオに組み入れ、最も効率的なリスク・リターンを実現しようとしています。まずリスクありきで、リターンはリスクをとることに対する対価と考えているのです。

 

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エンダウメント投資戦略

エンダウメント投資戦略

山内 英貴

東洋経済新報社

米国屈指の名門ハーバード大学やイェール大学は、実は世界でもっとも先進的な機関投資家だった! その投資哲学から実際の運用手法、さらには個人投資家のための活用事例に至るまでわかりやすく解説する。

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