米国ハーバード大学などが実践している「エンダウメント投資」とは、「寄付金で財団や基金を設立し、寄付で集められた資産を元本にして運用する投資」のことで、継続して高い利回りをあげています。今回は、個人が自分で再現することは難しい「エンダウメント投資」を、証券会社を通じて実行する方法を3つ解説します。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『エンダウメント投資戦略』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

エンダウメントのポートフォリオを自分で組むのは困難

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

個人投資家のみなさんがエンダウメント投資戦略に取り組む意義は、ひとたびそのフレームワークを構築することにより、長期的にぶれない運用が可能になることです。しかも、積み立て運用はその長所をさらに引き出してくれます。

 

しかし、モデル・ポートフォリオを構築しても、実際に自ら取り組むとなると、現状では絵に描いた餅という点もあります。

 

たとえば、ETFの最低投資金額が小さくないこと。これは、あるいはインデックス投信を利用することで解決できるかもしれません。

 

次に、定期的な積み立てを自分の決めた比率で実行するとなると、結局、毎月毎月、計算しながら自ら購入金額を調整し、購入手続きしなければならないこと。そうなると、自動引き落としで送金コストもかけないで、とはなりそうにありません。さらに、リバランスの手間もあります。

 

そうなると、エンダウメント投資戦略の特徴のひとつである、各資産クラスの運用は外部の運用会社に任せるというやり方を敷衍(ふえん)して、エンダウメント・ポートフォリオのファンドに投資して、現時点で障害となりそうな問題の解決を任せてしまう、というのも有力な選択肢です。

外部に委託して「エンダウメント投資戦略」を実行する

エンダウメント投資戦略の具体的な実行方法には、次の3つがあります。

 

①投信エンダウメント・ポートフォリオを構築する

投信を自ら選んでエンダウメント・ポートフォリオを構築するためには、株式・債券のインデックス・ファンド(またはETF)、REITのETF、そしてリキッド・オルタナティブ投信が必要です。

 

そこで、これらを販売商品として品揃えしている販売会社に口座を開設して、ターゲット・ポートフォリオを決定し、投資を開始します。複数の口座にまたがると、リバランスが面倒で、コストがかかるため、現実的ではありません。

 

本当は積み立て方式が望ましいのですが、毎月の積立額がよほど大きくない限り、定額方式で個別投信を積み立てることは現状では難しいでしょう。

 

したがって、現実的には、個別に投信を選んで自分でポートフォリオを構築するこの方法は、リタイヤメント世代の余剰資金の長期運用など、ある程度まとまって資金を、一定期間、たとえば10年、手をつけずに長期的リターンを得たいというようなニーズに適しています。

 

そして、ETFやインデックス・ファンドは品質に大きな差がないのに対して、リキッド・オルタナティブはまだ玉石混交であり、ここでパフォーマンスに大きな差がつくことが予想されるため、みなさんが投資したいリキッド・オルタナティブ投信を提供する販売会社を選択することになるでしょう。

 

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エンダウメント投資戦略

エンダウメント投資戦略

山内 英貴

東洋経済新報社

米国屈指の名門ハーバード大学やイェール大学は、実は世界でもっとも先進的な機関投資家だった! その投資哲学から実際の運用手法、さらには個人投資家のための活用事例に至るまでわかりやすく解説する。

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