オルタナティブ投資とは「伝統的な資産の株式や債券とは異なる値動きの商品に投資し、リスクを軽減して運用する手法」のことをいいます。今回は、世界中の機関投資家がこのオルタナティブ投資に注目し、ポートフォリオ(資産構成)への組み入れを積極化している理由について解説します。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『エンダウメント投資戦略』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

18世紀のスイスを起源とする「資産運用業」の歴史

資産運用業のビジネスとしての歴史は古く、18世紀のスイスが起源だとされています。

 

19世紀に入って、欧州でナポレオン戦争が起こると、富裕層は資産を守るために、スイスのプライベートバンクに運用を委託するようになりました。プライベートバンクというと、名称からは銀行を想像しますが、実際には信託などを利用して資産運用の一任を受けた資産運用会社が中心です。

 

スイス国立銀行(右)とクレディスイス銀行ベルン支店(左)(※写真はイメージです/PIXTA)
スイス国立銀行(右)とクレディスイス銀行ベルン支店(左)(※写真はイメージです/PIXTA)

 

そして19世紀中頃、英国で投資信託という仕組みが考案されると、20世紀に入り、米国でミューチュアル・ファンド(日本の公募投信に当たります)が大きく成長します。大恐慌後に法律が整備され、1960年代の米国経済の黄金期に急成長し、国民金融資産の蓄積に大きく寄与しました。

 

その後、1990年代に入ると、金融工学(ファイナンシャル・テクノロジー=FT)と情報技術(インフォメーション・テクノロジー=IT)が文系産業と考えられていた金融の世界を一変させます。

 

 

資産運用の世界では、米国バンガード社のインデックス・ファンドが大人気となり、アクティブ運用が全体としてはこうしたパッシブ運用に勝てないという認識に対する支持が広がりました。インデックス運用が大きく成長したのがこの時期です。

 

そして、その後、金融市場の表舞台に登場してきたのが、ヘッジファンドやプライベート・エクイティなどのオルタナティブ投資です。

 

エンダウメント投資戦略の大きな特徴は、早い段階から、ポートフォリオの分散の対象としてオルタナティブ投資を積極的に活用してきたことがあります。

 

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