日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は「日常のストレス」に焦点をあてていきます。

コロナ不況で給与減続く…本当の苦境はこれから?

前出のとおり、多くの人が「仕事」や「収入・家計・借金」で悩んでいます。仕事にまつわるストレスのなかには、給料や待遇なども含まれると推測されますので、“お金”にまつわるストレス、悩みは、わたしたちの永遠の課題なのかもしれません。

 

昨今は、新型コロナウイルスの感染拡大により、打撃を受けた業界も多く、実際に収入減に陥った人も多いでしょう。先日発表された厚生労働省『毎月勤労統計調査』2021年1月速報によると、「現金支給総額」は前年比マイナス0.8%の27万2972円。前年比マイナスは、新型コロナウイルス感染拡大による第1回目の緊急事態宣言が発令となった、2020年4月以来、10ヵ月連続です。

 

出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査』より作成
[図表5]給与の推移 出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査』より作成

 

総務省『家計調査2019年』によると、二人以上世帯(勤労世帯)の「負債額(=ローン残高)」は平均855万円。そのうち「住宅・土地のための負債」は798万円になります。

 

さらに年齢別に見ていくと、20代の負債額平均は877万円、30代で1395万円、40代で1124万円、50代で652万円、60代で250万円。さらに貯蓄額から負債額を引くと、20代で-523万円、30代で-665万円、40代で-48万円と債務超過が続き、50代でやっとプラス1052万円と貯蓄現在高を上回ることになります。さらに定年までのわずかな間に、老後のためにプラス幅を大きくしていかなければならないわけですから、お金にまつわるストレスがないほうが少数派、といえるでしょう。

 

しかしこれは平均的な話。なかには家計の運用がうまく立ち行かなくなるケースも珍しくありありません。借金が返せなくなったとき、取れる手段のひとつが「自己破産」です。

 

裁判所の「司法統計月報(速報値)」をみると、2020年12月の破産事件は7393件。そのうち自己破産は7351件、さらに自然人(法人と対比されている概念で人のこと)は6859件でした。

 

1月からの累計で見ていくと、破産事件は7万8104件。前年比97%と減っています。これは1人10万円の給付金など、政府による支援もあり、自己破産まで追い込まれることはなかったことに起因すると考えられます。菅総理は、もう特別定額給付金はないと言っていますし、依然として首都圏では緊急事態宣言が続いています。経済的に苦しくなるのは、これからという専門家も少なくありません。

 

長引くコロナ禍で、悩みやストレスを抱える人は、さらに増加しそうです。

 

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