65歳以上の高齢者の主な死因として、「悪性新生物(がん)」、「心疾患」、「老衰」に続く第4位にあげられるのが「脳血管疾患」です。生活習慣が原因の発症が多く、初期症状に気づくことができれば重症化を防ぐことができます。今回は医師である梶川博氏・森惟明氏が、脳血管疾患の検査で用いられることの多い「CTとMRI」の違いについて解説していきます。

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CT検査とMRI(およびMRA)検査の違い

脳の病気を診断する上で欠かすことのできないCTとMRI/MRAですが、その違いをご存じでしょうか?

 

どちらも似たような装置に見えますが、実は原理が根本的に違います。CTは「X線」を、MRI/MRAは「強力な磁石」を使用しているのです。

 

[図表1]CT・MRI/MRA検査

 

それぞれの具体的な特徴は、以下のようなものが挙げられます。

 

CT(コンピュータ断層撮影【だんそうさつえい】:Computed Tomography)

・放射線被曝がある。
・検査時間が短い(2分程度)。
・予約なしですぐに検査可能。
・急性期出血性病変の診断が容易。
・血管を診断するには造影剤が必要。
・骨が描出できるため骨折の診断ができる。

MRI(磁気共鳴画像(じききょうめいがぞう):Magnetic Resonanse Imaging)、MRA(磁気共鳴血管画像【じききょうめいけっかんがぞう】):MR angiography):MRIを用いて血管像 を描出する方法

・放射線被曝がない。
・検査時間が長い(30分程度)。
・基本的には予約制。
・急性期脳梗塞の評価が正確にできる。
・造影剤を使用することなく、血管を描出できる。
・骨は描出できない。
・ ペースメーカーなどの体内金属がある場合や、閉所恐怖症の方など、検査ができないことがある。

 

以上のようにそれぞれ一長一短があり、医師は症状、検査目的に合わせて検査を選んでいます。

 

これは50代後半男性(図2)の症例です。

 

[図表2]アテローム血栓性脳梗塞のMRI拡散強調画像とMRA

 

来院までの経過:左の手や足がしびれて、眼の症状もあった。かげろうが上がるようになり、そうして霧がかかったように見えなくなる。これが来るとしびれたようになる。眼は左から始まって、全体に霞みがかかるような感じがある。目の症状が出ると必ずしびれが出る。最終は来院5日前。以前は眼の症状はなかった。ここ最近は症状が強かったため来院。

 

既往歴:高血圧(177/104,96)、高コレステロール血症、高尿酸血症、閉塞性動脈硬化症。

 

左図:MRI拡散強調画像 右後頭葉に高信号域を呈する小さな脳梗塞(皮質枝閉塞)。
右図:MRA右内頸動脈閉塞、右中大脳動脈も写りが悪い。

 

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脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

梶川 博 森 惟明

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢になるにつれて発症のリスクが高まる脳梗塞。 国民病ともされる脳梗塞の種類や予防法、治療法を知ることで、ならない工夫、なってからの対応を身に付けましょう。 「三大疾患に負けないシリーズ」第1弾!

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