日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は総務省の調査から「キャッシュレス」の実情を見ていきます。

キャッシュレス化進むが、世界では出遅れ感も

先日、スマートフォン決済「LINE Pay(ラインペイ)」の国内決済サービスを「PayPay(ペイペイ)」に2022年4月に統合する協議を始めたと発表されました。

 

登録者数は、ペイペイが約3600万人、ラインペイが約3900万人(2020年2月末時点)。調査会社、MMD研究所の調査によると、最も利用しているスマホ決済はペイペイが首位43.1%でトップ、ラインペイは5位で4.6%。両サービスが統合が実現すれば、そのインパクトは相当なものになりそうです。

 

経済産業省の『キャッシュレスの現状及び意義』によると、キャッシュレス決済は、「クレジットカード」「デビットカード」「電子マネー」「(QRコードなど)モバイルウォレット」の4種類。日本のキャッシュレス決済比率は約20%と言われています。

 

しかし日本におけるキャッシュレス決済は、世界的に見ても遅れている散々言われてきたのは、多くの人が知るところ。前出資料で世界各国のキャッシュレス比率を見ていくと、下記のとおり。

 

韓国  96.4%
イギリス  68.6%
中国  65.8%
オーストラリア  58.2%
カナダ  56.3%
スウェーデン  51.5%
アメリカ  46.0%
フランス  40.7%
インド  34.8%
日本  19.9%
ドイツ  15.6%

出所:経済産業省『キャッシュレスの現状及び意義』より

 

ひと口にキャッシュレスといっても、中国ではQRコード、スウェーデンではデビットカードが普及するなど、国によって事情は異なりますが、主要国が40~60%程度という事情を見ると、確かに日本の出遅れ感が目立ちます。

 

ちなみに経済産業省による『キャッシュレス・ビジョン』によると、日本では総人口1人あたり 7.7 枚のカード(クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード)を保有。シンガポールに次いで多いのだとか。世界的に見ても、日本は現金以外の支払手段が根付いていると見ることもできます。

 

それでもキャッシュレスが普及しない社会情勢的理由として、同資料では以下4つを挙げています。

 

1)盗難の少なさや、現金を落としても返ってくると言われる「治安の良さ」
2) きれいな紙幣と偽札の流通が少なく、「現金に対する高い信頼」
3)店舗等の「POS(レジ)の処理が高速かつ正確」であり、店頭での現金取 扱いの煩雑さが少ない
4)ATM の利便性が高く「現金の入手が容易」

 

また実店舗側からの理由として、「端末の導入コスト」、「現金と比較した場合の運用・維持コストの高さ」、「支払い後の資金化までのタイムラグ」の3つを、消費者側からの理由として、「キャッシュレス支払いに対応していない実店舗等の存在が、キャッシュレス支払いへの移行を躊躇させている」、「キャッシュレス支払いにまつわる各種不安(使いすぎ等)」の2つを挙げています。

 

2019年6月に閣議決定された『成長戦略フォローアップ』において、2025年6月末までにキャッシュレス決済比率を4割程度とすることを目指すとされています。

 

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