いつの時代もなくならない相続トラブル。今回は、相続終活専門協会代表理事・江幡吉昭氏が、自筆証書遺言に関するトラブルを紹介します。 ※本連載は遺言相続.com掲載の記事を再編集したものです。

せっかく書いたのに…「NGになる」思わぬミスとは?

自筆証書遺言はすでに書き上げたとします。次に何をするか? まず、インターネットで法務局の予約を取ります。

 

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

 

このサイトを使えば、直接法務局の時間を指定して予約できるので便利です。

 

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筆者は2021年1月4日の9時に東京法務局(九段下)で予約しました。この保管制度は本籍地、住所地の法務局になるので、どこの法務局でもOKなわけではない点、ご注意ください。筆者は東京在住なので東京法務局になったというわけです。

 

予約が取れたら、遺言以外に申請書と住民票(本籍地記載のもの)を用意します。申請書は先ほどの法務局のホームページにPDFがありますので、家庭用プリンター等で印刷して記入する必要があります。

 

ホームページにも詳細がありますが、注意したいのが遺言の形式です。

 

法務局で保管してもらう遺言に関しては規定が1つあります。それは余白です。A4用紙に記載しなければいけないのですが、必ず「縦1センチ、横2センチの余白は必要」なのです。

 

せっかくA4の紙に書いたにも関わらず、余白がなく、びっしり書いてしまうと受け付けてもらえません。遺言を書きなおすのは相当面倒だと思いますので、縦1センチ、横2センチの余白は必ず守るようにしましょう。

自筆証書遺言の保管…筆者が実際にやってみた

筆者は東京法務局(九段下)の第2合同庁舎に行きました。遺言保管制度は8階に窓口があります。エレベーターに乗って8階、一番奥の右手が遺言保管の部署です。

 

名前を伝え、予約したことを告げます。そして、係員に「申請書」「住民票」「本人確認書類(運転免許証等)」「押印した遺言」を見せます。形式のチェック等で約20分強待ちました。

 

確認後、法務局の職員から「問題ないので収入印紙を買ってきてください」といわれます。そして収入印紙を買いに一度4階に行き、3,900円の収入印紙を買いました。


8階に戻り、収入印紙3,900円を貼った用紙を渡して、保管証という用紙を係員から受領して終了となります。合計45分くらいでした。

便利な制度だが、もちろん懸念点もある

個人的に気づいたことをまとめます。

 

まず、遺言原本はそのまま保管されてしまいますので、コピー等を取っておく必要があります。自分でどんな内容を書いたか忘れてしまいますからね。また、短時間で終わらせたい場合は、収入印紙3,900円を事前に4階で買っておくことをオススメします。

 

ちなみに遺言を保管してもらうときに申請書に記載すれば、自分が死んだら妻等に遺言の存在を通知してくれるサービスもあります。不発見のリスクもなくなるというわけです。とても便利な制度ではないでしょうか。

 

ずいぶん勝手のいい自筆証書遺言保管制度ですが、車いすに乗った意思能力が微妙な親に遺言さえ作らせてしまえば、子どもが親を連れて行ってこの制度を利用できてしまう恐れもあります。

 

法務局の係員は公正証書遺言と違って、公証人でもなければ、遺言作成の証人でもありません。その点で、客観性はやはり公正証書遺言に比べて劣ります。

 

何かもめごとが起きたときを想定するのであれば、やはり公正証書遺言が一番客観性が高いといえるでしょう。ちなみに、再度遺言を作り直したい場合はまた3,900円かかります。

 

 

江幡 吉昭

相続終活専門協会代表理事

 

 

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    本連載に記載されているデータおよび各種制度の情報はいずれも執筆時点のものであり(2020年12月)、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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