65歳以上の高齢者の主な死因として、「悪性新生物(がん)」、「心疾患」、「老衰」に続く第4位にあげられるのが「脳血管疾患」です。生活習慣が原因の発症が多く、初期症状に気づくことができれば重症化を防ぐことができます。今回は医師である梶川博氏・森惟明氏が、脳血管疾患と関係の深い「頭痛」について解説していきます。

 

頭痛は、大きく一次性頭痛(機能性頭痛、“心配ない頭痛” )、二次性頭痛(“症候性頭痛”、“心配な頭痛”)に分かれます。

 

・一次性頭痛
一次性頭痛として一番多くてよく知られているのが片頭痛です。片頭痛は頭痛の約半数を占め、「片頭痛を診てほしい」と言われて外来受診される方の中にも多く含まれています。原因不明であることが多いのですが、精神的要因や、姿勢の問題、頸椎症、眼精疲労なども原因となります。トリプタン製剤など劇的に改善する薬剤もあり、専門医を受診し自分に合う治療方針や薬を見つけることです。

 

緊張型頭痛は、筋緊張型頭痛の別称があるように、多くの場合、筋肉の緊張、具体的には肩凝り、頸の凝り、後頭部の凝りや痛み(大後頭神経痛、大後頭三叉神経痛)に起因します。片頭痛と同じく、精神的要因、慢性疲労、頸椎症などが原因となります。治療は精神安定剤を含む薬剤を主体とする対症療法です。

 

・二次性頭痛
二次性頭痛は、致命的となることもあり特に注意が必要です。頭頸部血管障害によるもの(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、動脈解離、脳静脈血栓症、側頭動脈炎など)と、頭頸部外傷、脳腫瘍、髄膜炎・脳炎、脳脊髄液減少症などによるものとがあります。

 

頭痛では、嘔吐や強い痛みのため日常生活に支障を来すことも多いですが、適切な治療により症状を軽くしたり、発作回数を減らしたりすることも可能です。頭痛患者さんが毎週2~3日、慢性的に鎮痛薬を内服している場合は薬物乱用頭痛に陥りやすく、一旦陥ってしまうとなかなか負の連鎖から抜けられなくなるため、早めに脳神経内科や脳神経外科の診察を受けられることをお勧めします。

 

頭痛が急に起こった場合、あるいは頭痛以外に嘔吐や上下肢の脱力、言語障害、意識障害などを伴うような場合はすぐに病院を受診してください。特に、くも膜下出血では、しばしば「金槌で叩かれたような」「これまでに経験したことのない」激しい頭痛と形容されます。

 

 

 

梶川 博

医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長

 

 

森 惟明

医学博士

 

 

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