65歳以上の高齢者の主な死因として、「悪性新生物(がん)」、「心疾患」、「老衰」に続く第4位にあげられるのが「脳血管疾患」です。生活習慣が原因の発症が多く、初期症状に気づくことができれば重症化を防ぐことができます。今回は医師である梶川博氏・森惟明氏が、脳血管疾患と関係の深い「頭痛」について解説していきます。

急に倒れてしまった…「意識消失」で考えられる原因

急に倒れて呼びかけても揺すっても反応がない、ということで救急搬送されたり、意識消失があったが、短時間で治ったりした場合に、心配なので後日外来受診されるという例を、脳神経内科や脳神経外科の外来ではよく経験します。では、意識消失の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

意識がなくなる前後にどのような症状があったかという情報は、診断をする上で大きな助けとなります。しかし、来院時には症状が全くない場合も多く、目撃者がいないと状況が不明で、検査でも異常がなく原因不明ということもしばしばあります。患者さんはもちろん脳が心配ということで来られるのだと思います。脳が原因であれば命に関わることはもちろん、重大な後遺症を残してしまうこともあるでしょう。

 

頭痛の種類によっては、重大な後遺症を残してしまうことも(画像はイメージです/PIXTA)
頭痛の種類によっては、重大な後遺症を残してしまうことも…(画像はイメージです/PIXTA)

 

脳の病気では、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、てんかん、脳炎などが原因であることが多いといえます。脳卒中の場合は、重症度に応じて意識レベルにも大きな違いが生じます。重症なものは意識がなくなってそのまま回復せず、致命的となることもあります。

 

脳梗塞であれば詰まった血管、脳出血であれば出血部位や出血量などに応じて、重症度が決定します。脳の血管が詰まって意識がなくなっても幸い血栓が溶けるなどして意識が戻ることがありますが、そのような場合でもより末梢の血管が詰まって何らかの神経症状が残ることがほとんどです。

 

つまり、一過性脳虚血発作(Transient Ischemic Attack:TIA)で、意識消失後全く何もなかったかのように意識が戻り神経症状も何もないということは稀です。

 

脳卒中、脳梗塞を含む神経系疾患の急性期の意識状態の把握は非常に大切です。世界的にはグラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale:GCS)が、日本ではジャパン・コーマ・スケール(Japan Coma Scale:JCS)が用いられています。JCSは、300(深昏睡)から1までの9段階に分類します。なお、意識清明は0(ゼロ)です。日本では、救急隊と病院との連絡における意識状態の評価はもっぱらJCSによっています。

「頭痛」で病院を受診すべきか、見極める方法は?

頭痛で脳神経外科や脳神経内科を受診される方は非常に多く、急に起こり命に関わるようなものもあれば、慢性的に悩まされるようなものもあります。頭痛の種類、病院を受診すべきかどうかの見極めについて記します。

 

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脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

梶川 博 森 惟明

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢になるにつれて発症のリスクが高まる脳梗塞。 国民病ともされる脳梗塞の種類や予防法、治療法を知ることで、ならない工夫、なってからの対応を身に付けましょう。 「三大疾患に負けないシリーズ」第1弾!

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