日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「貯蓄率」。将来のために、収入のうちどれくらい貯蓄にあてればいいのか、見ていきます。

みんなは、毎月、どれくらい貯蓄しているのか?

ーー月々、どれくらい貯金をしたらいいのだろう

 

誰もが、一度はそんな疑問を抱いたことがあるでしょう。もちろん家族構成や、住まいや生活の状況などによって、収入のうち、どれだけ貯蓄にまわせるか違いますし、目標だって異なります。ただ周囲がどれくらい貯蓄しているかを知れば、自身の目安にできるでしょう。

 

思わずガッツポーズ(※画像はイメージです/PIXTA)
思わずガッツポーズ(※画像はイメージです/PIXTA)

 

総務省『家計調査家計収支編 2020年(令和2年)平均』では、月々家計に残ったお金としての貯蓄率を黒字率として算出しています。それによると、二人以上世帯で勤労世帯に限った可処分所得は49万8639円。貯蓄率は38.7%。約4割もの所得が貯蓄にまわっています。

 

同条件の貯蓄率の年次推移を見ていきましょう。2000年代に入ってから、貯蓄率は20%台後半で推移していました。しかし2018年に30.7%と、ここ20年間で初めて30%台にのると、2019年には32.1%、そして昨年は40%にも迫る勢いになっています(図表1)。

 

出所:総務省『家計調査家計収支編 2020年(令和2年)平均』より作成
[図表1]貯蓄率(黒字率)の推移
出所:総務省『家計調査家計収支編 2020年(令和2年)平均』より作成

 

その間の可処分所得を見ていくと、確かに昨年はここ20年間で最高値を示しましたが、これは特別定額給付金の影響だと考えられます。また消費額を見ていくと、どの年も30万~33万円程度で、所得が増えたからといって贅沢はせず、その分は貯蓄にまわす……そんな日本人の国民性のあらわれでしょうか。

 

また単身者の勤労者世帯についても見ていくと、可処分所得28万9239円に対し、貯蓄率は41.6%。二人以上世帯のより少々多く、所得を貯蓄にまわしているようです。

 

では収入によって、貯蓄率はどのように変わるのでしょうか。二人以上世帯の勤労世帯に限り、世帯主の年収別に貯蓄率を見ていきます。

 

【世帯主の収入別貯蓄率(黒字率)】

20万円未満 26.7%
25万円未満 31.9%
30万円未満 35.2%
35万円未満 41.8%
40万円未満 41.2%
45万円未満 41.8%
50万円未満 44.3%
55万円未満 48.2%
60万円未満 46.3%
65万円未満 49.6%
70万円未満 49.4%
80万円未満 50.8%
90万円未満 43.4%
100万円未満 43.4%

 

世帯主の収入が高まるにつれて徐々に貯蓄率は上がっていきますが、50万円程度で高止まり、80万円を境に下落していきます。消費志向が高まる分岐点といえるかもしれません。

 

年齢ではどうでしょうか。二人以上世帯の勤労世帯に限り、世帯主の年齢別に貯蓄率を見ていきます。

 

【世帯主の年齢別貯蓄率(黒字率)】

35歳未満 43.4%(可処分所得46万6106円、世帯人数3.32人)
40歳未満 46.8%(可処分所得50万5438円、世帯人数3.79人)
45歳未満 43.0%(可処分所得52万5283円、世帯人数3.78人)
50歳未満 38.8%(可処分所得54万8394円、世帯人数3.65人)
55歳未満 38.0%(可処分所得55万7002円、世帯人数3.30人)
60歳未満 40.1%(可処分所得55万2970円、世帯人数3.02人)
65歳未満 26.2%(可処分所得39万8003円、世帯人数2.79人)


40歳未満をピークに貯蓄率は減少。定年を迎える人も多い60歳を前に貯蓄率は上昇しますが、65歳を前に可処分所得の減少も影響してか、貯蓄率は15ポイント近く減少します。

 

世帯人数にも注目していくと、住まいのローンや子どもの教育費など、何かとお金がかかる40~50代は、可処分所得が増えますが、その分、消費も増えて貯蓄率も減少。子どもに手がかからなくなる55歳以降に再び貯蓄率が上昇するという、家族のストーリーが見えていきます。

 

2020年は給付金という特別な事情があったので、その結果から-5~10%程度が本来の貯蓄率と考えていくと、家族構成や年齢などによって違いはありますが、手取りの3割程度が平均的と言えるかもしれません。

 

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