白内障の診断で真っ先に聞かれる質問
白内障治療の最初のステップは、眼科医を受診して白内障の診断を受けるところからはじまります。診察前には問診票などで、次のような質問をされます。
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<初診の際のおもな問診項目>
□いつ頃から見えにくくなりましたか?
□以前より屋外で光をまぶしく感じますか?
□近くの細かい文字などがかすんで見えますか?
□夜に街灯やクルマのヘッドライトがにじんで見えたり散って見えたりしますか?
□眼鏡があわなくなりましたか?
□いままでに眼の病気といわれたことがありますか?
□いままでに眼に大きなケガをしたことがありますか?
□いままでにレーシック手術を受けたことがありますか?
□糖尿病など体の病気がありますか?
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この問診で大切なのは、患者の見え方の状況やこれまでの目のトラブルの有無、健康状態などについて、できるだけ正確に医師に伝えることです。目がかすむ、ものがぼやけて見えづらい、使っていた眼鏡があわなくなった、視力が急に低下した、光をまぶしく感じるといった自覚症状があるときは率直に医師に伝えましょう。
高齢の患者で症状がゆっくり進行した場合、見えにくい状態に慣れてしまっていたり、「気のせい」と思ってしまうこともあるようですが、中高年以降の見え方の変化をよく思い出して話してください。
手術の成否を左右する「患者からの情報提供」
また正しい診断や治療方針の検討には、患者の「目の歴史」の情報もとても重要です(図表2)。近視や遠視、老眼でいつ頃からどの程度、眼鏡やコンタクトレンズを使っていたか、眼鏡などで矯正して視力1.0が出せていたのはいつ頃までか、過去に目のけがや手術の経験はないか、といったことはあらかじめ整理しておくと確実です。
特に眼を強く打ったような場合、外傷によって外傷性白内障を起こしている恐れがあるほか、眼の水晶体を支えるチン氏帯や水晶体嚢(すいしょうたいのう)がダメージを受けていて、白内障手術に支障が生じることもあります。
また過去にレーシック手術を受けている人は、必ずそのことを眼科医に知らせてください。レーシック経験者は近視を矯正するためにレーザーで角膜を削っているため、通常の検査では角膜のカーブを正確に測定できず、一般的な度数計算で眼内レンズを入れると強い遠視になってしまいます。
レーシック経験者で白内障手術が必要になった人は、できればレーシックに詳しい医師に相談されることをお勧めします。
白内障と診断されても「手術必須」とは限らない
白内障の診断の際には、「水晶体の濁り」の度合いと、「視機能がどの程度低下しているか」を見て手術が必要か判断をします。水晶体が濁っていても、見え方に問題がなければ治療の必要はないため、診断時には眼の機能を細かく見ることが大切なのです。
検査の際には通常、瞳孔を広げて水晶体の状態を観察しやすくするために「散瞳薬(さんどうやく)」を点眼します。これを使用したあとは4~5時間は瞳孔が開いた状態が続くため、目のピントがあわないまま帰宅することになります。検査当日は、車や自転車の運転は避けるようにしてください。
●細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査
スリット状の細い光を出す細隙灯顕微鏡という装置を使って、角膜から網膜にいたる眼の組織を調べます。白内障の濁りの程度や部位、核(水晶体の中央部)の硬さや、水晶体を支えている組織の状態などを細かく観察することができ、手術の難易度も分かります。
●屈折・矯正視力検査
遠視や近視、乱視などの目の屈折度を測定し、遠くの見え方と近くの見え方を調べます。見えづらい原因が白内障ではなく、眼鏡があっていない場合もあり、眼鏡などで矯正しても視力が上がらないときには白内障を疑います。また使用している眼鏡の度数や眼鏡装用時の視力なども調べ、手術前にどの距離にピントがあう状態で生活をしていたかを確認します。
市川 一夫
日本眼科学会認定専門医・認定指導医、医学博士
市川 慶
総合青山病院 眼科部長
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