患者にとって病院は「常にアウェイ」な場所
かつて大学病院などで勤務医をしていた経験からいいますと、病院の医師はホームグラウンドである「病院」に患者さんのほうから来てもらい、そこで「病気」を診ているわけです。
では、患者さんにとっての病院はどうかといいますと、やはりアウェイでしょう。決して「ホーム」ではありません。
たとえ個室に入院していたとしても、そこはアウェイです。個室のベッドで寝ていると、主治医が入ってきて、聴診器で胸の音を聞き、おなかを触診して「大丈夫ですか」「痛みはありませんか」などと質問して出ていきます。そのあいだ、患者さんはまったくの受け身であり、注文をつけたり意見を述べたりすることは難しいことがあります。少しは不自由さもあります。
一方で、「自宅」というのは患者さんにとってのホームグラウンドです。むしろ在宅医のほうがアウェイになります。
そこでは患者さんは伸び伸びと試合ができます。つまり、普段の暮らしを保ちながら医師と接することができるのです。
さしずめご家族は患者さんにとってチームメイトみたいなものでしょうか。手助けしてくれる人たちです。このチームメイトも病院では、たまに顔を出すぐらいでしかありません。
自宅のベッドで、病院と同じように医師が胸の音を聞いたりおなかの触診をしても、ホームグラウンドであれば気楽に質問もできますし、意見も言えます。薬が合わないみたいだとか、腰の痛みが治まらないといった病状だけでなく、嫁が冷たいだとか孫たちがうるさいといった悩み、愚痴、ボヤきも口をついて出てきます。
こうした事情を知ることも、在宅医にとっては大事なことなのです。というのも、環境が患者さんの体調に与える影響は決して少なくないからです。
佐野 徹明
医療法人さの内科医院院長
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