高血圧の原因となる食塩…摂取量の目安は?
健康診断、受けていますか? 新型コロナウイルスにより、ひっ迫する医療機関が検診に人手をさけなかったり、感染リスクを恐れて医療機関に足が遠のくなどして、本来受けなければならない定期検診を拒むケースが増えているとか(関連記事:『都道府県「人間ドック費用」ランキング…1位と47位の差は8倍』)。
受けた、まだ受けていない、関わらず、多くの人が気にしているのが「血圧」でしょう。特に年をとるに従い、「血圧が高くて……」という会話は、まるで挨拶のように飛び交います。血圧は自宅でも気軽に図ることのできる機器も豊富なので、日々、気にかけている人も多いでしょう。
高血圧は、喫煙と並んで、生活習慣病死亡を左右する要因のひとつです。仮に高血圧を完全に予防できれば、年間、10万人以上の人の死亡を防止すると推測されるほど⋆1。厚生労働省『平成30年国民健康・栄養調査』によれば、20歳以上の男女の2人に1人は高血圧なので、私たちにとっていかに身近な問題であるか、わかるでしょう。
以下の日本高血圧学会の高血圧診断基準によると、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断されます。自宅で測る場合の家庭血圧の場合、診察室よりも5mmHg低い基準が用いられます(図表1)。
高血圧予防に欠かせないのが、減塩です。生活習慣病やその原因となる生活習慣の改善などについて目標を掲げた、厚生労働省『健康日本21』(2000年作成)によると、食塩摂取量の目標値は8g未満。また厚生労働省『日本人の食事摂取基準2020年版』によると、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満としています。さらに日本高血圧学会では1日6g未満、世界保健機関(WHO)は1日5g未満としています。
日本人の食生活は、醤油をかけたり、毎食味噌汁がついてきたりと、食塩が多くなりがち。そのため日本の食塩摂取量の基準は世界基準よりも甘くなっているのかもしれません。ただ厚生労働省は『日本人の食事摂取基準2020年版』で以下のように述べているので、今後、基準は引き下げられるかもしれません。
(中略)
習慣的な摂取量として5g/日未満を満たしている者は極めて稀であると推定される。したがって、目標量を5g/日未満とするのは、実施可能性の観点から適切ではない。そこで、実施可能性を考慮し、5g/日と平成28年国民健康・栄養調査における摂取量の中央値との中間値をとり、この値未満を成人の目標量とした。
出所:厚生労働省『日本人の食事摂取基準2020年版』