ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。

ターゲットをできるだけ具体的にイメージする

[事例3]おしゃれ雑貨通販サイトで潜在ユーザーの掘り起こしに成功

 

ここからはネット通販のプロモーションの例です。

 

ある雑貨専門サイトの売上が伸び悩んでいました。商品はハワイのものやハワイが好きな人向け限定で、サイトの運営を、ECコンサルの会社に任せていらっしゃいましたが、特に広告出稿もしていなかったため、広告費をかけて、プロモーションを開始することになりました。

 

ハワイが好きでこのサイトを知らない潜在ユーザーに、まずはその存在を知ってもらう必要があります。ハワイ行きの航空券を探している方や、ハワイで泊まるホテルを探している方などをターゲットにしてバナー広告を大量に配信しました。するともともとハワイに興味のある方を集客しているので、徐々に商品の購入につながり、売上が上がっていきました。

 

ある程度成果が出たので予算を増やしてインスタグラムも始めてみると、想定以上に購入につながりました。サイトに一度来て、購入に至らなかったユーザーをインスタグラム上でリターゲティングを行ったところ、購入につながりました。

 

さらに、サイトに一度も来たことがないハワイ関心ユーザーにも広告配信したところ、購入につながりました。ハワイ好きのユーザーとインスタグラムの相性は良さそうです。恐らく、ハワイが好きで旅行によく行かれている方は、その時の写真をインスタグラムでたくさんアップしているのでしょう。

 

このようなユーザーをターゲティングしやすい特徴のあるサイトでは、一度購入してくれると高い確率でリピーターになる可能性があります。サイトに来て、購入に至らない方も、リターゲティングを行うことで、のちのち購入者に転換していきます。それに従ってメルマガの登録者が増えました。これらが重なると月平均売上が伸びていき、前年同月の倍になっています。特に新製品や再入荷のお知らせをメルマガで送ると売上が跳ね上がるという現象が見られます。

 

このクライアントも広告予算を増やして、さらに成果を出そうとしています。

 

[事例4]知名度が低いアパレルの通販サイト

 

アパレル通販は、ショップやブランドの知名度が低いとどうしても苦戦します。打開するコツは、商品を購入してくれるのはどんな人かを可能な限り具体的にイメージすることです。逆にそこを考えてプロモーションをしなければ売れません。

 

そのような通販サイトのひとつで、タレントが使ったので一時人気が出たのですが、その後売上が半分近くまで落ちたところがありました。有名ブランドと似たテイストのバッグや小物などを扱い、価格はハイブランドほどではないので比較的手が届きやすいというショップです。

 

その有名ブランドに興味がある人たちをターゲットにすれば買ってもらえるのではないかということで、ショップの担当者と私の意見が一致しました。そこで、そのブランド名を検索した人にリスティング広告やディスプレイ広告、バナー広告を出し、SNSでも同じことをしました。これが見事にはまりました。

 

男性向けでは腕時計をプロ野球選手や格闘家がつけていたので、プロ野球や格闘技のファンをターゲットにしました。これも反響が大きく人気を取り戻し、売上はほぼ全盛期近くまで盛り返しました。

 

後藤 晴伸
後藤ブランド 社長

 

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本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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