年金支給額、制度の改定で何が変わるのか?
厚生労働省では、1月22日、2021年度の年金額を0.1%引き下げると発表しました。年金額の引き下げは2017年以来、4年ぶりのことです。そもそも年金額は賃金や物価の変動率に応じて毎年改定がされていましたが、2021年度からは、賃金変動率が物価変動率を下回る場合、新規裁定年金、既裁定年金ともに、賃金変動率に合わせた改定が徹底。今回、賃金変動率が-0.1%、物価変動率は0.0%だったことから、年金改定率は-0.1%となりました。
それにより国民年金(老年基礎年金(満額)1人分)は、6万5141円から66円の引き下げで6万5075円に、厚生年金(夫婦2人分の老年基礎年金を含む標準的な年金額)は、22万724円から228円の引き下げで22万496円になりました。
経済状況を反映したものとはいえ、もらえるものが減るのは、定年後の身としてはたとえ月額数十円から数百円とはいえ、気持ちのいいものではないかもしれません。
また昨年5月に国会で成立した「年金改革法」により、今後、保険の適用や年金受給が変わります。一部を除き施行は2022年4月となっていますが、改正のポイントを押さえておきましょう。
まず現行の制度では、従業員数が500人以下の企業で働くパートタイマーやアルバイトは厚生年金の加入の対象外ですが、2022年には100人以下、2024年には50人以下と、適用範囲は段階的に拡大されます。国はこの変更で、厚生年金加入者が65万人増えると試算しています。
そして老齢年金の受け取り開始時期は、60~70歳の間で選択できますが、改正で60~75歳となり、選択肢の幅が広がります。また確定拠出年金 (企業型)や、個人が任意で加入するiDeCoも、支給開始年齢が60~75歳へと拡大します。
さらに現行制度では、在職老齢年金(厚生年金に加入しながら受け取る老齢厚生年金)は「給与+年金」が28万円を超えると減額、場合によっては全額支給停止となっていました。その上限が47万円に引き上げられます。
これらの改定によって、高齢者の働き手が増えると期待されています。
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