国の施策方向は病院医療から在宅医療へと変わりつつあります。住み慣れた家で過ごし人生の終焉を迎えることは、誰もが望むことでしょう。しかし、核家族化が進行した地域では、本人や家族が在宅死を望んでも、なかなか叶えられないのです。今回は、地方の在宅医療の現状について見ていきましょう。

国は住宅での看取りを重視…本当にそれでいいの?

そのような現状の中、診療所の上階に要介護、要医療者の入る住宅を設置する事業者も増えてきました。これなら効率よく患者宅? を訪問でき看取りも容易です。深夜の呼び出しもあまり苦痛ではないかもしれません。

 

在宅での看取りを重視した国の施策が続く限りこのような住宅がさらに増加していくものと思われます。このような特殊な住宅は別として普通の住宅での在宅医療を推進するにはかかりつけ医の確保が重要です。

 

しかし現実には一人のかかりつけ医で在宅での看取りに応じることはなかなか困難です。終焉の時があらかじめわかっているならまだスケジュールを調整し対応が可能でしょう。

 

でもいつ呼び出されるかわからないまま待機を続けることは極めて難しい。さらに深夜の呼び出しとなると、翌日の診療を抱えている身にとっては、若いうちはともかく高年齢になると難しい。

過疎地域での「チーム医療」はかなり困難

比較的負担なく国が推進する在宅医療を行うのならば地域の複数の医師によるチーム医療しかないだろうと思います。これならば何日かに1回だけ担当するだけで済み負担は軽くなります。

 

このようなチーム医療を行うには当然のことながら地域の医師数の確保が重要です。しかし過疎地域では医師数も少なく移動距離も長距離になり都会に比べやはり困難です。

 

こうした地域では在宅訪問診療を行うにしても看取りは病院であってもいいのではないかと思います。在宅訪問診療をしていて末期が近くになったら入院し看取る。これならかかりつけ医の負担は軽減されます。

 

髙山 哲夫

国民健康保険坂下病院名誉院長

 

 

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新・健康夜咄

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髙山 哲夫

幻冬舎メディアコンサルティング

最新医療機器より大切なものは、患者さんを想う心――。著者のところには、がん、糖尿病、嚥下困難、胃ろう、認知症、独居うつ、褥瘡など、様々な病気をもつ高齢の患者さんがやってくる。地域の高齢な患者さんの声に真摯に耳を…

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