「人生100年時代」といわれています。22歳から65歳まで現役で働いていた時間よりも、定年後の時間のほうが長いのです。定年後の避けては通れない課題は「お金」「健康」「生きがい」。これが定年後の3大リスクです。この「3大リスク」をうまくクリアできれば、第二の人生をバラ色にすることがきます。本連載は長尾義弘・福岡武彦著『定年の教科書 お金 健康 生きがい』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

やるやらないは別!公的年金を増やす方法

老後の生活を豊かに過ごして、しかもお金の心配をしないですむ方法に、公的年金を増やす方法があります。

 

「年金を増やすなんて無理でしょう?」と疑う声が聞こえてきそうですが、じつはできるのです。

 

定年後も再雇用などをして厚生年金に加入して長く働くことで、年金の受取額を増やすことができます。

 

年金受給の手続きは、65歳以降に「老齢基礎年金・老齢厚生年金 支給繰下げ申出書」を提出しなければならないという。(※写真はイメージです/PIXTA)
年金受給の手続きは、65歳以降に「老齢基礎年金・老齢厚生年金 支給繰下げ申出書」を提出しなければならないという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

また、60歳で退職をしたとしても、国民年金の払込期間が40年に満たない場合は、「国民年金に任意加入」して、年金を増やすことも可能です。

 

さらに年金額を増やす方法としては、繰下げ受給があります。この繰下げ受給というのはとてもお得な制度なので、ぜひ活用していただきたいと思います。

 

それでは、年金の繰下げ受給と繰上げ受給について、詳しく解説をしていきましょう。

 

「繰上げ受給」のデメリットは大きい

 

公的年金は65歳で受け取るものだと思い込んでいませんか。

 

じつは、60歳から70歳までの間の、自分が望む時期に受け取れるのです(2022年4月より75歳に延長)。65歳より前に受け取る方法を繰上げ受給、65歳を超えてから受け取る方法を繰下げ受給といいます。

 

「だったら、60歳からもらったほうが得だ!」と思った方、それはとんでもない誤解です。

 

繰上げ受給を選ぶと年6%が減額され、減額された年金額が一生涯続きます。60歳で受給を開始すると、30%もの減額です(2022年4月からは年4.8%の減額、60歳支給開始で24%の減額に変わります)。そして、繰上げ受給は早く受け取れるぶん、最初のうちは得になりますが、途中から損になります。その損益分岐点は約77歳です。77歳以降は、差がどんどん広がっていきます。

 

そのほかにもデメリットがあります。繰上げ受給をすると、障害年金や寡婦年金を受け取ることができなくなります。また、遺族年金と併用では受け取れないため、どちらか一方を選ぶ必要があります。そして、一度繰上げ受給を選択してしまうと、途中で変更はできません。

 

どうしても生活が成り立たないという状況でなければ、繰上げ受給は避けたほうがいいでしょう。

 

次ページ75歳まで繰下げると、最大84%の増額になる
定年の教科書 お金 健康 生きがい

定年の教科書 お金 健康 生きがい

長尾 義弘 福岡 武彦

河出書房新社

「人生100年時代」といわれています。22歳から65歳まで現役で働いていた時間よりも、定年後の時間のほうが長いのです。第二の人生を余生などと思っていると、大変なことになります。 この長い時間を生きるのに、年金だけの「…

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