ウェブマーケティング業界は楽して儲けようという人が多いと指摘するのは後藤ブランド社長の後藤晴伸氏だ。「高い費用をかけても売り上げは伸びなかった」「報告書を読んでも、担当者に聞いても何をしているのかわからない」「契約したとたん対応が悪くなった」……。同業者にとって耳の痛いウェブマーケティングの実態を暴き、本当の魅力を伝える。

底引き網のような戦略と一本釣りのような戦略

問い合わせが何百件あっても、成約ゼロでは意味がない

 

住宅情報誌や住宅関連の雑誌は、住宅を建てたり買いたいと考えている幅広い層の人が見るので、年収や職業などによるセグメントがなされていません。読者の数が多いので、なかには興味本位で富裕層向けの住宅の資料請求をする人もいるでしょう。しかし実際に購入できる人はごく限られているので、もし何百件もの問い合わせがあったとしても、1件も成約につながらないということも十分にあり得ます。そうなると資料を準備して発送する手間とコストが無駄になるだけです。

 

ところがファーストクラスやビジネスクラスにある機内誌だと、問い合わせは数件しかなくても、はるかに高い確率で成約する人が出てくるでしょう。

 

プロモーションの戦略は、商品やターゲットによって変えなければいけません。購入者の数を重視するか、質を重視するかによって、幅広い層に情報を送り込んで引き上げる底引き網のような戦略と、セグメントを絞り込んで一本釣りをする戦略に分かれます。高級住宅を売る場合は、質を重視するプロモーションになります。いたずらに問い合わせが増えてもそこまでで終わってしまい、売上増にはほとんどつながらないからです。

 

クライアントはそこまで考えずに、成果につながる提案を待っています。それを提案する立場にあるのは広告代理店です。しかしほかが狙ってないブルーオーシャンを見つけて独り勝ちしようと考えるマーケターはなかなかいません。すると提案するにもネタがなく、住宅情報誌に広告を出すような、ありふれたプロモーションをして成果が出ないまま終わってしまいます。

 

広告代理店としては、たとえ競合他社が集まるレッドオーシャンでも、ほかと同じことをやっている方が安心なのかもしれません。しかし広告代理店の安心感のために成果が望めないプロモーションに費用をかけさせるのは、クライアントをバカにした話と言わざるを得ません。

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本連載は後藤晴伸著『増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番』(幻冬舎MC)の抜粋原稿です。

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

増補改訂版 ウェブマーケティングという茶番

後藤 晴伸

幻冬舎メディアコンサルティング

業界を知り尽くした著者がウェブマーケティング業界の闇を暴露する衝撃の一冊。 インターネットがビジネスでも必須の存在となり、ウエブを活用した賞品宣伝や集客が当たり前になり、検索順位を上げたり、広告から商品の購入に…

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