「言いたいことはわかるけど…」長女の最終結論は?
妹の頑なな姿を目の当たりにして、Aさんは頭を抱えてしまいました。妹の言い分も理解できる反面、母親の形見を手放すのは、思い出まで一緒に失われるようで忍びなかったからです。
しかし、その後も妹の姿勢が変わる気配はありません。結局、Aさんは泣く泣く指輪を換金し、妹が納得のいくかたちで分割したのです。
この事例の場合、相続税は非課税ですが、財産の分割をめぐって争いに発展しました。このように、相続税がかかるほどの財産がなくても、実際には、税金以外の部分でもめることがよくあるのです。
近年の傾向として、財産の分割でもめるケースが増えています。司法統計によれば、1985年の遺産分割事件の新受件数は6176件であったのに対して、2018年は1万3739件と倍以上です。
次のようなデータもあります。分割が原因で相続問題に発展した家庭の財産額は1000万円から5000万円が最も多いとされています(2014年「司法統計年報」)。相続財産が5000万円以下ということは、相続税はかからないケースも多いです。つまり財産が少ないほど、分割でもめやすいといえます。
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