日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「金融資産」。以前「老後資金2000万円」などと話題になりましたが、果たして保有資産の平均値は……見ていきましょう。

2000万円以上の金融資産を保有しているのは?

将来を見越しての資産運用というなら、記憶がまだ新しいのが、金融庁の金融審査会がまとめた報告書によって端を発した「老後資金2000万円問題」。収入を年金のみに頼る無職世帯では、老後を生きるために約2000万円の老後資金が必要になるといったもので、「2000万円もいらない」「2000万円じゃ足りない」など、議論は様々な方向に発展していきました。

 

結論はどうであれ、「2000万円の金融資産を保有する」のは、単身者世帯で13.8%、二人以上世帯では20.3%。人それぞれ支出は異なりますので一概にいうことはできませんが、老後の安心のための線引きを2000万円と仮定するならば、大半の世帯でクリアしていない=将来に不安を持っている、といえるでしょう。

 

ひとつの基準ともいえる資産2000万円を、多くの世帯がクリアしていないという現状ですが、果たして、どのような方法で資産運用を行っているのでしょうか。

 

単身世帯の平均値1059万円のうち、「預貯金」は468万円(44.2%)、そのうち243万円(22.9%)は「定期預金」です。続いて多いのが「株式」で172万円(16.2%)。「投資信託」が135万円(12.7%)、「生命保険」が89万円(8.4%)、「個人年金保険」82万円(7.7%)、「債権」53万円(5.0%)と続きます。

 

次に二人以上世帯。平均値1537万円のうち、「預貯金」は657万円(42.7%)、そのうち409万円(26.6%)は「定期預金」です。続いて多いのが「生命保険」で358万円(23.2%)。「株式」が162万円(10.5%)、「個人年金保険」が112万円(7.3%)と続きます。

 

単身世帯のほうが、若干アクティブな資産運用を行っている傾向がありますが、資産の多くが預貯金を占めるのは、日本人の国民性なのかもしれません。

 

さらに「金融資産の前年(2018年)との比較」では、単身世帯で34.7%、二人以上世帯で22.4%が「増えた」と回答。一方、単身世帯の26.7%、二人以上世帯の29.2%が「減った」と回答しています。

 

減少の理由で最も多いのが「定期的な収入が減ったので、金融資産を取り崩したから」。単身世帯で44.2%、二人以上世帯で40.8%を占めます。また二人以上世帯では「子どもの教育費用、結婚費用の支出があったから」「耐久消費財の購入による支出があったから」がともに3割を占め、ライフスタイルにまつわる支出によるところが大きいのに対し、単身世帯で3割弱を占めるのが「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」。積極的な資産運用が裏目に出たカタチです。

 

やはり金融資産、目減りの最たる理由は収入、つまり多くの人にとって給与の減少。前出の通り、このコロナ禍で給与は減っているところも多いでしょうから、保有資産を取り崩して対応するケースも多くなるでしょう。

 

 

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