初めて不動産投資に取り組む多忙な医師「A氏」
診療科 整形外科
年齢 32歳
家族構成 独身
居住地 中部地方
勤務医としての年収 1,400万円
救急指定病院で整形外科医として勤務するA氏は、文字通り昼夜を問わず働きづめです。ご存じのように整形外科の患者数は内科に次ぐ多さと言われています。しかも働いている病院は救急指定なので夜中に呼び出されることは日常茶飯事。さらにA氏は同僚の中では若手なので夜間勤務が多くなる傾向があります。
2014年の1月にお会いしたときも「正月の三が日はすべて出勤だったよ」と嘆いていました。また、整形外科は精神的には元気な患者ばかりです。クレームが発生すると激しい言葉や行動に出る患者がたまにいて、そのときの対処にも苦労しているとのことでした。
戦争のような毎日を繰り返しているので、いくら収入が多くても使う時間がありません。デートはもちろん出会いの機会もなく、数年前に60万円かけて道具を揃えた趣味のゴルフも何年もやっていませんでした。このような状況のA氏の唯一のストレス発散方法は、年に一回程度の大きな買い物でした。お金は普段使う時間がないので貯まる一方です。気がつくと預金通帳には1,000万円前後のお金が貯まっていました。それで昨年は新車のBMWを約800万円で購入しました。しかし通勤以外に乗る時間はないのですが。
節税を意識して不動産投資を始めたものの…
あまりに多忙なため、資産運用を考える暇もなかったA氏が収益物件に興味を持ったのは、同じ病院に勤務する先輩がすでに投資用マンションを持っていたからでした。ある日先輩に対して「とにかく忙しい」「お金を使う暇さえない」とグチを言ったところ、「それならマンションを買え。節税にもなるぞ」というアドバイスをもらいました。
節税に対してまったく無関心だったA氏は、先輩にくわしく説明を求めました。すると収益物件による節税の仕組みを丁寧に教えてくれました。そこで資産運用に目覚めたわけです。「今までなんてもったいない納税の仕方をしていたんだ!」。さらに「いつかは結婚したい」「結婚するなら将来に対する保証も欲しい」。毎日怪我や病気で苦しむ患者を診ているうちに、自分が病気をして働けなくなったときのために資産は必要だ、という考えにいたりました。
すぐに先輩に不動産会社を紹介してもらい、大阪府の新築マンションを2戸購入。費用は合計で約5,000万円。多忙なため現地で内見することはありませんでした。決め手となったのは、やはり節税効果でした。毎月の収入からローン返済などの支出を差し引くと1戸当たり1万円程度のマイナスですが、確定申告を行うことで数十万円の節税になる試算だったのです。
晴れて2戸のマンションオーナーとなったものの、毎日の忙しさは変わりません。そうこうしているうちに確定申告の時期が近づいてきました。物件を購入した不動産会社とは、管理委託契約も交わしていました。購入前の商談では、確定申告前に必要書類を送ってもらい、申告方法も教えてもらうことになっていたはずでした。
しかし、2月になっても何の音沙汰もありません。A氏は「このままでは節税にはならない」と不動産会社に電話をしました。すると「担当の○○は退職しました。新しい担当から連絡をさせます」と電話の応対に出た人が言いました。
A氏は、そういうことなら、と待つことにしました。しかし3月に入り、確定申告の受付期間が過ぎても連絡がありません。結局忙しさのあまりに確定申告することなく3年が過ぎました。