受験シーズン真っ只中。早くも合格を手にした受験生、すでに来年を見越している受験生…今年も様々なドラマが繰り広げられています。皆一様に努力しているなか、受験の明暗をわけるターニングポイントとは、一体? 本記事では、学習塾・灘学習院の学院長である江藤宏氏の著書『東大・京大に合格する子どもの育て方』より、特別な才能がなくても、難関大学に受かる親子の共通点について解説します。

恐ろしい…子の「考える力を失わせる」親の指導とは

「知識欲」という言葉があるように、「なぜ?」と考え、答えを得ることができれば「嬉しい」とか「楽しい」という気持ちが湧き上がってきます。考える時間が長ければ長いほど、得られる喜びも大きいでしょう。ですから、考える力がつけば、学校の勉強が楽しくなります。授業を聞いてきちんと理解していけば、少なくとも国公立大学には十分合格できるだけの学力を身につけることができるといっても過言ではありません。

 

もちろん、頭を使って考える習慣をつけるには幼い頃から始めるのがベストです。それも早ければ早いほど良いでしょう。小学校に入る前、幼稚園に進む前からでも頭を使う訓練は可能です。

 

ただし、幼い頃から訓練した方がいいから、といって幼児教育の塾に入れたり、計算教室に無理に通わせたりしないよう注意してください。よほど特殊な塾でない限り、子どもの思考力を伸ばすどころか、考える力を失わせてしまう結果になる危険性が高いからです。

 

あるいは、幼い頃から計算能力が少しでも高まるようにと、そろばん塾などに通わせることも、一考すべきだと思います。なぜなら計算能力が高いことと、思考力があることは決して同じではないからです。

 

むしろ計算能力が高い子どもほど考えなくなる傾向も見られます。つまり算数の問題を見て計算だけで解けない場合に、考えることをすぐに諦めてしまうのです。自分の持ち味である計算の速さや正確さが求められない問題では面白くないからです。これでは頭を使えない子どもに育ってしまいかねません。意外に見落とされがちな、そろばん塾や計算教室に通わせるリスクです。

 

可能性があるからといって、早くからいろいろ「覚えさせる」ことはまったくの無駄です。無駄に終わるぐらいならまだ救いのある方で、逆効果になる恐れもあります。例えば「お受験対策」などで幼稚園に入る前から、テストの対策法など教え込んだりすると、その後の子どもの伸びしろを奪ってしまうリスクが高いのです。

 

繰り返しになりますが、覚えることと考えることはまったく違います。自分で考えたうえで得た答えは頭に残りますが、詰め込まれた知識は簡単には定着しません。それを強引に「こうなんだ」と定着させようとすればするほど、子どもの頭は固くなってしまいます。

 

子どものために良かれと思ってやった結果が逆効果になってしまう、これほど悲しいことはありません。

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東大・京大に合格する 子どもの育て方

東大・京大に合格する 子どもの育て方

江藤 宏

幻冬舎メディアコンサルティング

「うちの子は勉強しているのに成績が上がらない」、「あの子は勉強しているように見えないのにいつも成績がいい」と感じたことはありませんか? 実はわかりやすい授業ほど、子どもの可能性を奪っているとしたら──。 40年に…

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