母の遺産は全部ほしい!兄の家を借り、同居母を看る妹の胸の内
近年では相続税の課税はますます重く、また、これまで許容されていた対策にも規制がかかるなど、非常に厳しいものとなっています。大切な資産を減らすことなく無事に相続を乗り切るには、どのような手段があるのでしょうか。「相続実務士」のもとに寄せられた相談実例をもとにプロフェッショナルが解説します。
贈与手続き終了後、母親から兄に報告すれば穏便に
贈与の手続きにかかるのは、名義替えの費用と、あとで課税される不動産取得税です。相続よりは割高になりますが、遠藤さんは、それよりも不安をなくしておきたいということでしたので「すぐに母親に説明して、必要な書類を揃えます」といってお帰りになりました。
遠藤さんの兄には、贈与の手続きが終わってから母親から伝えておいてもらうようアドバイスしました。母親の意思を伝えてもらうと余計な争いにはなりにくいからです。
●できる対策
土地に関して母親から贈与を受ける。
贈与契約書を作成、司法書士の意思確認もする。
相続時精算課税制度を利用して、贈与税は納税なしを選択。
翌年、税務署に申告をしておく。
●注意すべきポイント
兄と感情的な争いにならないよう、母親から贈与の意思を伝えてもらう。
預金などのほかの財産については、生活費や老後資金に充て、残りを子ども2人で分ける等の遺言書を作ってもらうと、争いになりにくい。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
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株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。