新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の再発令は、人々の暮らしに多大な影響を及ぼしています。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、コロナ禍の結婚式中止に関わる「キャンセル料」の支払いについて解説します。

式場の「平均的損害」を超えるキャンセル料は無効

「理由の如何を問わず、10日前より以前のキャンセルの場合、全額の50%」といった定めをおくこと自体は、個々の結婚式場で自由です(規定自体をおいてはいけないわけではない)。

 

ただし、これらの定めは、消費者対事業者という立場の違いから、弱い消費者を保護するため「消費者契約法」による規制を受けます。

 

これにより、同法9条1号は「平均的な損害の額」を超えた部分を無効としていますので、キャンセル料の規定があっても、業者はキャンセルの場合に業者が実際に被る実損害の平均的な額を超えてキャンセル料をとることはできないことになります。

 

今回の場合でいうと、当日の料理代・お花代・その他の実費部分などは(すでに注文済みなどではない限り)かからないことになりますから、キャンセル料として請求することはできません。
 

また、キャンセル料は本来、定めをおくことで、直前にキャンセルをされて他の客から得られたはずの業者側の利益を保証する側面もあります。

 

今回の場合、仮にその会場を空けていたとしても、次の予約が入る可能性はもう高いとはいえないので、キャンセルされていなかったら得られたであろう同会場での他の顧客からの売上げ分についても、業者が期待することは難しいものとして、キャンセル料のなかに含めることは難しいということになりそうです。

 

 

水谷 江利

世田谷用賀法律事務所 弁護士

 

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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