新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の暮らしに多大な影響を及ぼしています。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、コロナ禍「相続や結婚式」トラブルへどう対処すべきか解説します。

父の財産調査に「コロナ流行前」よりも時間が掛かる…

Q.先日、父が死亡し相続が発生しました。実家の土地・建物が父の名義になっているのですが、父は生前に多額の借金を抱えていたため、相続を放棄すべきかどうか悩んでいます。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、財産を調査するのにかなりの時間を要してしまいそうです。相続の放棄は「3ヵ月以内」にしなければならないと聞きましたが、何か良い方法はないでしょうか。
 
コロナで調査が難航…(画像はイメージです/PIXTA)
コロナで調査が難航…(画像はイメージです/PIXTA)

 

A.家庭裁判所に相続放棄等の熟慮期間を延長してもらえるよう、申立てることができます。

 

相続人が相続放棄を希望する場合、原則として、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヵ月以内に家庭裁判所にその旨を申述しなければならないとされています。しかし、一定の場合には、熟慮期間を延長してもらうことができるのです。

 

延長の可否については、延長を必要とする事情によって、家庭裁判所が判断しますが、新型コロナウイルス感染症の影響は、上記の一定の場合に該当します。相続放棄の申述やその熟慮期間の延長申立は、被相続人(質問のケースではお父様が被相続人となります)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対してする必要があります。

10月中旬に結婚式をする予定だったが…

Q.10月中旬に結婚式をする予定でしたが、遠方からの招待客や高齢者の参列者も多く、やはり、新型コロナウイルスの感染を防ぐためキャンセルしようと思い式場に連絡したところ

「3ヵ月間以内の日程であれば、手数料無料で日時変更に応じる」

「解約の場合は、不可抗力ではなく自己都合によるため、規定により、今日だと45%、明日だと100%のキャンセル料がかかる」

といわれました。私たちはキャンセル料を支払わなくてはならないのでしょうか?

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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