米長期金利は大幅に低下
FRBが過去に例のない緩和を実施
■2020年の主要国の長期金利(10年国債利回り)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中央銀行が大規模な金融緩和を行ったことから、3月にかけて急低下しました。各国・地域でロックダウン(都市封鎖)などの行動規制が行われたことによる世界的な景気の急減速を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利をゼロ金利まで引き下げたほか、過去に例のない量的緩和に踏み切るなど、主要中央銀行は大規模な金融緩和を実施しました。4月以降は各国の積極的な財政政策もあり、経済再開による景気底入れ期待などから長期金利はやや水準を上げましたが、異例の金融緩和の長期化見通しからその後も低位で推移しています。
新興国の長期金利も低下基調
南欧国の長期金利も大幅低下
■主要国に比べて信用力の低い新興国の長期金利も新型コロナの影響に伴う金融緩和を受けて3月にかけて低下しましたが、その後財政悪化懸念から上昇する国もありました。ただ、FRBの異例の金融緩和でドル安基調となるなか、コロナワクチン開発による景気回復期待から新興国債券市場に資金が流入したことを背景に、年末にかけて新興国の長期金利は一段と低下しました。
■同様に、ドイツ国債に比べて信用力の低い南欧各国の長期金利も大幅に低下しました。欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を拡大しており、低金利環境がさらに長期化するとの見方から、年末にかけイタリア国債の利回りが0.5%台を付けて過去最低を更新するなど、相対的に利回りが高い南欧国債が買われました。
世界景気回復の下でも長期金利の上昇は緩やかにとどまる
■2021年の世界経済は、新型コロナワクチンの実用化に伴い、回復することが見込まれます。ただし、需給ギャップが残るためインフレ圧力は高まらず、FRBをはじめとする各国・地域の中央銀行は、大規模緩和を継続するとみられます。このため景気回復の下でも世界の長期金利の上昇は緩やかにとどまる見通しです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年の債券市場の振り返りと見通し』を参照)。
(2020年12月23日)
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