チャットGPTブーム到来
■米オープンAI社が開発した最先端の対話型人工知能(AI)、チャットGPTが世界的なブームを巻き起こしています。チャットGPTのアクティブユーザー数は発表後2ヵ月で1億人を突破し、業界関係者を大いに驚かせています。ちなみに、動画投稿アプリ「ティック・トック」の同アクティブユーザー数が1億人を突破したのはサービス開始から9ヵ月後、写真共有アプリ「インスタグラム」は30ヵ月後、音楽ストリーミングアプリ「スポティファイ」では55ヵ月後といわれており、チャットGPTの人気の程が伺えます。
■チャットGPTブームともいえる状況ですが、株式市場ではオープンAIや協業先のマイクロソフトだけでなく、半導体関連企業への関心が高まっています。
AIの「学習」と「推論」を支える高性能半導体
■対話型AIが脚光を浴びる中で半導体株に関心が集まるのは、その開発や運用に高度な半導体が重要な役割をはたすからです。AIはデータを「学習」し「推論」を組み立てることで、従来のコンピューターでは難しかった「判断」を行うことができるとされています。チャットGPTも膨大なデータを「学習」し、「推論」を行うことで「言語モデル」を構築していますが、こうしたプロセスにはデータセンターを丸ごと稼働させても数ヵ月を要するとされています。このため、データ処理能力や演算スピードに優れるAI向け高性能半導体企業が、俄然注目が集めているのです。
今後の展開:AIブームの追い風受ける半導体企業、銘柄選別には注意を
■対話型AIに代表される高性能なAIの登場をきっかけに、株式市場では半導体株への関心がにわかに高まっています。今年の米株式市場はハイテク株を中心に堅調ですが、半導体株全般の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は、ハイテク銘柄を多く含むナスダック総合指数を大きく上回って推移しています。
■AI市場の拡大の恩恵を受ける半導体業界ですが、銘柄選択には注意が必要です。というのも、コロナ禍での「巣ごもり需要」に沸いたPCやスマートフォンはこのところ需要減速が鮮明で、半導体全般の引き合いは強くないからです。例えば、AIの「学習」プロセスを担う画像演算処理装置(GPU)最大手のエヌビディア(NVIDIA)や、同じくAI用サーバー向けGPUや「推論」プロセスで使われる中央演算処理装置(CPU)大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の株価は好調です。その一方で、PC向けCPUが主力のインテルや、フラッシュメモリーなど記憶媒体用の半導体を製造するマイクロン・テクノロジー(Micron)の株価は、年初来の戻り相場でも大きく出遅れています。
■チャットGPTに代表される、膨大なデータを「学習」し、高度な「推論」を行う巨大AIについては、競合する米アルファベットや中国アリババなども開発を積極化させており、今後は様々な分野での利用拡大が続きそうです。このため、AI関連の半導体銘柄への追い風は、当面続くことが期待できそうです。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『AI関連の「半導体銘柄」に追い風…チャットGPTブームで注目集まる「半導体企業」【マーケットのプロが解説】』を参照)。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社