SENSEX指数が9連騰
■インド株が戻り歩調にあります。今年に入り、インドの財閥アダニ・グループに対する不正会計疑惑が浮上し、外国人投資家の売りが広がったことでインド株は出遅れ感が目立っていました。しかし、アダニ・グループの株価は急落後、下げ止まっており、アダニ問題の悪影響はほぼ織り込まれたとみられます。
■こうしたなか、3月末から外国人投資家の買い越しが続き、代表的な株価指数のSENSEX指数が9連騰するなど、足元でインド株は堅調に推移しています。3月半ばに発生した金融不安に対し、米欧の金融当局が迅速に対応したことで3月末には金融不安が和らいだことが契機となった模様です。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止が視野に入り、投資マネーが、新興国のなかで成長期待の高いインド株に戻り始めた可能性があります。
RBIは政策金利を予想外に据え置き
■また、インド準備銀行(RBI)が4月6日に市場予想に反して政策金利を6.5%に据え置いたことも追い風となったとみられます。RBIは声明文で、今後の金融政策について必要に応じて利上げを実施するとしていますが、その後発表された3月の消費者物価上昇率(前年同月比)は2月の6.4%から5.7%に鈍化し、RBIの物価目標レンジ(2~6%)内に収まりました。弊社は、物価のピークアウトが見込まれるため、RBIが政策金利を現水準で据え置き、利上げは打ち止めになったと判断しています。こうしたインドの金融引き締め終了観測も株式市場を支えそうです。
今後の展開:業績面の優位性と利上げ打ち止め期待が株式市場を後押し
■米調査会社ファクトセットによれば、MSCIインドの2023年の企業業績(予想EPS:1株当たり利益)は2月に底入れしており、緩やかながら持ち直しています。また、2023年の予想EPSの伸び率は前年比+20.4%、2024年は+17.5%と、高い利益成長が見込まれています(4月14日時点)。
■これに対して、米S&P500種指数の2023年の予想EPSは引き続き低下傾向が続いています。2023年の利益成長は前年比で+0.6%と、ゼロ成長にとどまる見通しです。利益成長の回復は2024年の+12.1%に後ずれすることが見込まれています。
■米国の景気悪化が見込まれるなか、FRBによる利上げが最終局面にあるとみられることから、新興国への株式投資が見直される可能性があります。なかでも、高い経済成長が見込まれるインドの企業業績の相対的な優位性が注目されます。業績面での相対的優位に加えて、インドの利上げ打ち止め観測も後押しし、外国人投資家による買いがインド株の追い風となることが期待されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インド株が9連騰!外国人投資家が買い越し…今後の展開は?【マーケットのプロが解説】』を参照)。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社