「特別縁故者」として、故人の土地を分与されたが…
そこで、Aは被相続人Xの相続開始が平成27年であったことから、平成27年分の路線価で甲土地を評価し、平成27年の法令を適用して相続税の申告をしました。
なお、Aは平成27年2月に被相続人Xから500万円の現金贈与を受けていましたが、贈与税の申告をしていますので、相続税の申告には考慮していません。
【税務調査官の指摘事項】
分与された財産の価額(甲土地)は、分与時である令和元年の路線価で評価しなければならない。また、平成27年の現金贈与については、課税価格に加算して申告しなければならない。
【解説】
特別縁故者Aが相続財産の分与を受けた場合、遺贈により取得したものとみなされ、相続税法の適用は相続開始年分(平成27年分)の法令により相続税を計算することとなりますが、相続財産の評価は、その与えられた時におけるその財産の時価(相法4条)とされていますから、本事例の場合は令和元年分の路線価により甲土地を評価します。
また、課税価格の計算に当たっては、相続開始3年以内の贈与を加算します(相基通4─4)。この場合、Aが納付した贈与税は、相続開始の年の贈与となり、贈与税の課税価格に算入しない(相法21条の2第4項)こととなるため、財産の分与があったことを知った日から4か月以内に更正の請求(相法32条1項7号)をして納付した贈与税の還付を受けることとなります。
なお、基礎控除は法定相続人がいませんので、3,000万円のみで、税額加算(2割)(相法18条)があることにご注意ください。
★実務のアドバイス★
相続税法改正にご注意
仮に被相続人の相続開始が平成26年以前であれば、基礎控除・税率などが変わりますので注意してください。
※申告する場合は、申告書は相続開始年分の様式を、土地等の評価明細書、画地調整率表などは分与時の年分の様式を使用します。これらの各様式については、国税庁のホームページで入手できます。
国税OB・税理士 渡邉 定義
国税OB・税理士 黒坂 昭一
国税OB・税理士 村上 晴彦
国税OB・税理士 堀内 眞之
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