今回は12月10日に公表された『令和3年度税制改正大綱』を解説していきます。※税制改正大綱は税制改正の素案となるものであり、おおむねこの通りの改正がされることがほとんどですが、100%確実ではありません。

中小企業経営者、注目!「経営強化税制」延長へ

■法人課税(中小法人向け)

 

①経営改善設備を取得した場合の優遇措置廃止

適用期限令和3年3月31日をもって制度を廃止します。制度の概要は中小企業庁のHPを参照ください。

 

②中小企業経営強化税制の延長

中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合には、100%即時償却又は税額控除ができる制度がありましたが、こちらの制度が対象設備を一部追加した上で延長がされます。適用期限は令和3年3月31日とされていましたが、令和5年3月31日まで延長がされます。制度の内容については中小企業庁のHPを参照ください。

 

③中小企業向け所得拡大促進税制の見直し

本税制は2年間延長がされた上で、従前では継続雇用者給与等支給額の前年比にて行っていた1.5%以上の増加判定要件を、雇用者給与等支給額の前年比にて行うことになりました。これにより継続雇用者給与等支給額の集計が不要となりましたので、本制度の適用判定が非常に簡便になったと思います。

 

なお、上乗せ措置の2.5%以上の増加割合判定についても同様に雇用者給与等支給額の前年比で行うことになります。また、給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」について、範囲が明確になり雇用調整助成金等を控除しないことになります。

 

④中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設

本制度は中小企業等経営強化法の改正に伴う措置であり、改正により経営資源集約化措置(仮称)という制度が創設されるようです。具体的には、下記の要件を満たした青色申告書を提出する中小企業者等が、その取得する株式等の取得価額の70%の範囲内で、中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てた金額を損金算入(費用処理)できることとなります。

 

<要件>

ⅰ) 一定の時期に経営資源集約化措置(仮称)が記載された経営力向上計画の認定を受ける

ⅱ) その認定に係る経営力向上計画に従って他の法人の株式等の取得をする(10億円以下)

ⅲ) その株式等をその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している

 

この準備金は、その株式等を有しなくなった場合やその株式等の帳簿価額を減額した場合には逆に一定額が益金算入(収益計上)され、それ以外の場合にもその積み立てた事業年度以後5年間で経過期間に応じてその準備金残高を均等に取り崩して、益金算入(収益計上)することになります。

 

次ページwithコロナ時代を見据えて変わること

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録