多くの個人投資家が、一点狙いの売買を行います。行動の基となった予測に固執し、「この予測が当たらないと困るんだよ」と自分自身を追い込みがちです。しかし、言うまでもありませんが「予測」は当たったり外れたりするもの。外れたときは、未来を見据えて「最善の一手」を打つことが重要です。上がり下がりに一喜一憂することなく、冷静に判断しなくてはいけません。ここでは値動きの傾向を機械的に判断する手法である「中源線」を解説します。※本記事は、林知之の著書『中源線建玉法 基本と応用』(林投資研究所)より一部を抜粋、再編集したものです。

逆行に着目…陰陽転換を判断する「普通転換」のルール

では、「逆行」によって「陰陽転換」を判断する中源線ルールを、具体的に説明しましょう。

 

株価は、上がるときでも下がるときでも、一直線には動きません。上げたり下げたりのジグザグ運動をみせます。これを前提にして、「逆行」の動きを拾うのが中源線の着目点なのです。

 

中源線は、「逆行」の動きに注目します。図表2は、スタート時点で「陽線」、つまり「相場は上がっていく」と判断しています。「陽線」は「買い線」とも表現し、終値と終値を赤い線で結びます。

 

[図表2]陰陽転換(陰転)

 

ジグザグの中に逆行の動きABがあります。これを基準にして、その先にもガクンと大きな逆行(CD)が現れた場合に「転換した」と判断するのです。

 

このとき、AB、CDそれぞれの値幅について、カンタンな数式で示すことのできる条件があります。中源線では、値幅を「分」(ぶ)という単位に置き換えて計算します。これについては後述するので、まずは「1分=1円」と考えて図表2を見てください。

 

まず、逆行ABは4分あることが条件です。つまり、“わずかな”逆行ではない、“一定の”逆行を基準とします。4分に満たない“わずかな”逆行は、完全に無視します。

 

この“一定の”逆行のあと、それを最低でも3分抜くような逆行があり、その逆行がABの2倍を超える値幅だったら、「陰陽が転換した」と判断します。

 

この場合、逆行CDについて、「ABの逆行を3分抜いているか」「ABの2倍を超える値幅があるか」を確認すればいいのです。

 

ただし、ABの逆行がギリギリ4分、CDの逆行が9分では、1分=1円の場合は、わずか4円幅と9円幅なので、ちょっとした気迷いのジグザグで転換させてしまうことになります。

 

そこで中源線では、CDの値幅の絶対値について、12分という条件をつけているのです。

「基準の逆行」「大きな逆行」を数式であらわすと…

以上をまとめると、以下のような数式になります。

 

<転換の公式>

AB ≧ 4

BD ≧ 3

CD > AB×2

CD ≧ 12

 

中源線の書籍では、次のような言葉で表現しています。

 

1.最も近い4分またはそれ以上の屈曲段を、3分またはそれ以上抜くこと

 

2.その“3分またはそれ以上抜いた”(逆行新値までの)逆行値幅が屈曲段の2倍以上で、12分またはそれ以上であることこれを「普通転換」とする。

 

注)中源線の「以上」は、その値を含まない。

 

これが、中源線において陰陽転換を判断するメインのルール、「普通転換」です。AB、つまり最初の逆行を、中源線では「屈曲段」と呼びます。

 

CDについての特別な呼び名はないのですが、私は「転換に至る逆行」と説明しています。

 

「屈曲段」が基準の逆行、言い換えると“兆し”の逆行で、そのあとに現れる大きな逆行と組み合わせて、「これは方向が変わった」と判断するのです。実践者の感覚で納得できる、おもしろいロジックだと思います。

 

 

林 知之

投資顧問会社 林投資研究所 代表取締役

プロが教える株式投資 中源線建玉法 基本と応用

プロが教える株式投資 中源線建玉法 基本と応用

林 知之

林投資研究所

トレンドの変化点を的確に判定! 「中源線」を使って安定的に利益を出すための技術を紹介。 「中源線建玉法」の戦略を一言でいうと、「逆張りの順張り」。上げ相場から下げ相場、下げ相場から上げ相場へと変化する"変化点"…

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