多くの個人投資家が、一点狙いの売買を行います。行動の基となった予測に固執し、「この予測が当たらないと困るんだよ」と自分自身を追い込みがちです。しかし、言うまでもありませんが「予測」は当たったり外れたりするもの。外れたときは、未来を見据えて「最善の一手」を打つことが重要です。上がり下がりに一喜一憂することなく、冷静に判断しなくてはいけません。ここでは値動きの傾向を機械的に判断する手法である「中源線」を解説します。※本記事は、林知之の著書『中源線建玉法 基本と応用』(林投資研究所)より一部を抜粋、再編集したものです。

「上昇トレンド」なら、上がっても下がっても「陽線」

前項を読んで気づいたかもしれませんが、中源線は、ローソク足のように日々の形で陰線、陽線を区別しません。

 

ローソク足の場合は、日々の寄付と大引を比較し、大引のほうが高ければ「陽線」として白抜き(または赤く塗りつぶす)、大引のほうが安ければ「陰線」として黒く塗りつぶします。

 

中源線では、「今は上昇トレンドだ」と判断している期間は、上がろうが下がろうが常に「陽線」と呼びます。

 

前日よりも高ければ「陽線で順行した」、前日よりも安ければ「陽線で逆行した」とするのです。

 

常に、確固たる想定(予測)があり、それに対する値動きを淡々と評価します。株価の上げ下げによって生じる「一喜一憂」の感情が入り込むスキがありません。都合の悪いものを隠す、あいまいな態度もありません。値動きに対して、堂々と正面から向き合っているのです。

様子見せず、「一定の条件」を満たしたらトレンド転換

上がると思って買ったら、急に値動きが弱々しくなった…こんな状況に対して多くの投資家は、「様子を見る」と先送りします。すでにポジションを持っているのに「様子見」なんて意味不明です。

 

実際、「マズいなぁ」と感じているはずです。負けを認めるのはイヤなもの、その気持ちはよく理解できるのですが、往々にして、悪い予感の通りに下げ傾向が鮮明になっていくものです。

 

こんな見込み違いに対して中源線は、「投げたら損をする」などと過去に軸足を置いた思考をせず、「逆行が一定の条件を満たしたら、その方向に建て玉しよう」と未来に向けた一手を示します。前述した「陰陽の転換」です。

 

書籍『新版中源線建玉法』(林輝太郎著)では、この転換のポイントを「陰陽分岐点」と表現しています。「方向が変わった」と値動きを平易に評価し、市場が耳を貸してくれることのない自分の都合を盛り込みません。売っていようが買っていようが、ポジションがゼロだろうが、下げに転じたのなら売りを仕掛けるしかない、という実践者の理想の行動を指し示してくれるのです。

 

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林 知之

林投資研究所

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