多くの個人投資家が、一点狙いの売買を行います。行動の基となった予測に固執し、「この予測が当たらないと困るんだよ」と自分自身を追い込みがちです。しかし、言うまでもありませんが「予測」は当たったり外れたりするもの。外れたときは、未来を見据えて「最善の一手」を打つことが重要です。上がり下がりに一喜一憂することなく、冷静に判断しなくてはいけません。ここでは値動きの傾向を機械的に判断する手法である「中源線」を解説します。※本記事は、林知之の著書『中源線建玉法 基本と応用』(林投資研究所)より一部を抜粋、再編集したものです。

前日より高ければ「順行」、安ければ「逆行」

私が“中源線の骨子”だと感じるのは、「上げ下げ」を「順行」と「逆行」の2つに分ける発想です。具体的なルールは後述することにして、誰でも想像できる状況を設定して、「順行」「逆行」の考え方を説明しましょう。

 

図表1は、株価の変動を表しています。中源線と同じ、終値の折れ線チャートだと思ってください。今、「上がる」という想定で買っています。すでに、買いポジションを持っている状態です。

 

[図表1]順行と逆行

 

買っているのですから、上がることが望みです。上がれば上がるほど、評価益は膨らんでいきます。1日の取引が終了して、前日比がプラスで上向きの線が加わったときは、「よしよし。その調子だ」と感じるはずです。

 

しかし相場なので、上げ基調だから毎日必ず上がる、ということはありません。上がったり下がったり、ジグザグ運動をみせます。

 

上がる想定で買っているのですから、前日より高ければ順調で、これを「順行」と定義します。しかし、前日よりも安かった場合は、望ましい動きではないため、これを「逆行」と定義します。

 

実にわかりやすい、素直な捉え方です。買った銘柄が下がって「ヤバい」と感じながらも「様子見だ」と強がる人が多いのですが、その「ヤバい」を放置せずに「逆行した」と平易に認識します。

「下がる」と判断を切り替え、ポジションをドテン

ところが、値動きはジグザグ運動、順行の動きがあれば、逆行の動きがあって当たり前。いちいち騒いではいられません。

 

とはいえ、無視するわけにもいきません。その逆行が続いて大きな下げに向かうなら(そんな気配なら)、ポジションを変化させて対応する必要があるのです。

 

そこで中源線は、逆行と逆行の組み合わせが一定の条件を満たしたときに「トレンドが変わった」と判断します。

 

図表1に示したように、小さな逆行を下方向に抜く大きな逆行があった場合に、「下向きになった」と判断するのです。これが、「陰陽の転換」です。つまり、「上がる」(陽)という判断から、「下がる」(陰)という判断に切り替えるのです。

 

当然、ポジションも動かします。買い玉を手仕舞いすると同時に売り玉(カラ売り)を建てます。陰陽の転換によって、ポジションをドテンするのです。

 

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林 知之

林投資研究所

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